【第74回全国カレンダー展】 富山県関連3社が受賞
印刷技術や企画・デザイン力、機能性や実用性にすぐれたカレンダー作品を募集し顕彰する、74回目となる「全国カレンダー展」(主催:日本印刷産業連合会、産経新聞社)において、455点の応募の中から66点が入賞した。企業・団体へ配布するカレンダーを対象とする第1部門、一般消費者向けの第2部門、出版・小売り販売などを対象とする第3部門の3部門があり、富山県関連では中越パルプ工業(高岡市、社長植松久氏)と山田写真製版所(富山市、社長山田秀夫氏)、YKK AP(東京、黒部製造所ほか、社長堀秀充氏)が金賞や上位賞に選ばれた。
中越パルプ工業
オリジナルカレンダー「日本の彩2023〜杉浦非水の意匠」
金賞と経済産業省商務情報政策局長賞
世界で唯一、日本の竹100%原料の竹紙で
中越パルプ工業の「日本の彩2023〜杉浦非水の意匠」は昨年に引き続き、大正時代に商業美術のパイオニアとして活躍したグラフィックデザイナーの杉浦非水。著作「非水創作圖案集」から、日本美の魅力を引き出したグラフィカルな図案で構成した。「日本の彩」シリーズとして制作を開始した2008年から今回で16年連続の受賞となる。
全国カレンダー展ではこれまでに最高賞「内閣総理大臣賞」、「経済産業大臣賞」を含む大賞を15年連続で受賞し、ドイツで開催されるヨーロッパ最大のカレンダー展「グレゴール・カレンダー・アワード」で5度の銅賞受賞など、毎年高い評価をうけている。特に世界で唯一の国産竹100%を原料とする”竹紙”は、その独特な風合いだけでなく、今では放置竹林という社会的課題の解決の糸口を示す好事例と本業の紙づくりを通した社会貢献活動の象徴として生かされている。
竹紙カレンダーの愛好者には、使い終わったカレンダーをブックカバーや封筒、ランプシェードなど、創造的に再利用して楽しむ人が多いという。
山田写真製版所
「YPP10 Colors Calender2023」
実行委員会奨励賞
1260マスに分割してすべてに違う色を配置
2005年にドイツ・ハイデルベルグ社製菊全10色機「スピードマスターSM‐102‐10‐P6‐S」を導入したことを機に取り組み、18年目となった10色カレンダー。同社プリンティングディレクター・熊倉桂三氏のもと「広い色彩再現領域を持つ多色印刷を目指し、長年培ってきた製版技術を生かして10色機の可能性を引き出す」をテーマに毎年高い技術を追求している。
今回のタイトルは「one day one pixel one color」。カレンダー上の画面を1,260マスに分割してすべてに違う色を配置し、高解像度で作成したグラデーションを含むグラフィック画像を、通常の滑らかなグラデーションではなく、「可能な限り人為的な操作を最小限にすることで偶然に生まれた不思議な色の響き合いを大切に色味を作った」(グラフィックデザイナー橋詰冬樹氏)ことで、総インク量3%以内の微妙な色差まで再現した。
このほか、県内の黒部市などに製造所を置く、YKK APもDionne Sievewright(ディオン・シブライト)による6枚もの絵画カレンダー「Rhythm of the Earth(大地のリズム)」(写真左)で実行委員会奨励賞を受賞した。
入賞作品と実行委員会奨励賞は東京サンケイビルで1月30日から2月3日まで、平和紙業ペーパーボイス大阪で2月21日から3月2日まで展示される。