【データから読む】「第15回メディアに関する全国世論調査」

 公益財団法人新聞通信調査会は「メディアに関する全国世論調査」の結果を公表した。2022年8月26日から9月13日まで、全国の18歳以上の5,000人を対象に、新聞やテレビ、インターネットなど各メディアの情報をどの程度信頼しているかをポイント数化し特定メディアのユーザーに偏らない、住民基本台帳から無作為による層化二段無作為抽出法を用いている。回答率は59.9%。

 調査内容は「各メディアの印象・信頼度」、「ウクライナ情勢」、「憲法改正」、「ニュースとメディア」、「新聞への意見」、「インターネットとニュース」など7つのテーマ別に34の質問回答をまとめた。

 「各メディアの情報信頼度」ではNHKテレビが67.4ポイント、新聞67.1ポイント、民放テレビ62.1ポイント、ラジオ、インターネット、雑誌と続き、年代別情報信頼度では70代以上でNHKテレビが73.3ポイントともっとも高く、30代は62.5ポイントにとどまっている。

 前回調査でNHKテレビに1 位を譲った新聞は今回も僅差で2位だった。昨年度調査と比較すると、民放テレビだけが0.8ポイント上昇し、NHKテレビは1.6 ポイント低下、新聞0.6ポイント低下、インターネット0.3 ポイント低下、ラジオ0.3ポイント低下といずれも低下した。性別、年代別で見ると、NHKテレビ、新聞が18~19歳を除くすべてのカテゴリーで上位2位を占めている。

 大きなニュースを入手するメディアはどこかを尋ねると、民放テレビが75.1%でもっとも多く、インターネット64.5%、NHKテレビ54.2%、新聞40.3%、ラジオ12.5%で、年代別では50代以下ではインターネットがもっとも多く、60代以上では民放テレビがもっとも多い。インターネットは年代が低いほど多くなり、20代以下では 90%を超えた。民放テレビ、NHKテレビ、新聞は20代以降、年代が高いほど多くなる傾向が見られた。

メディアへの信頼感の変化

 この1年間で各メディアの信頼感が変化したか尋ねたところ、全てのメディアで70%以上の人が「変わらない」と回答。「高くなった」はインターネットが5.9%ともっとも多く、「低くなった」は民放テレビが12.3%ともっとも増えた。昨年度調査比で「高くなった」は新聞の1.0ポイント減がもっとも変化が大きく、「低くなった」は、NHKテレビが 1.1 ポイント増加し、他のメディアは減少した。 

 新聞の信頼感が「高くなった」と答えた人に理由を聞いたところ、昨年度(41.2%)より5.4ポイント減少したものの「情報が正確だから」(35.8%)、「根拠に基づく情報を報道しているから」(24.1%)として、昨年度(15.9%)より 8.2 ポイント増加した。 「低くなった」と答えた人の理由は、「特定の勢力に偏った報道をしているから」(44.8%)がトップで昨年度より2.0ポイント増加し、次いで「政府や財界の主張通りに報道するだけだから」とした人が昨年度より5.5ポイント増え16.5%だった。

信頼の「NHKテレビ」「新聞」、面白い「民放テレビ」、手軽な「インターネット」

 各メディアの印象について、NHKテレビは「情報が信頼できる」で1位に、「情報が面白い・楽しい」「情報が分かりやすい」「社会的影響力がある」で民放テレビが1位に、「手軽に見聞きできる」「情報源として欠かせない」「情報の量が多い」「情報が役に立つ」でインターネットが1位になった。新聞は「情報が信頼できる」で2位に、「情報の量が多い」で3位だった(表下)。

 ウクライナ情勢への関心度は、関心がある、どちらかと言えば関心があるを合わせ88.4%。性別では「関心がある」と答えた人は、女性の85.8%に対し男性が91.4%と、男性の方が多かった。

 その情報入手は「民放テレビ(公式サイト含む)」がもっとも多く79.7%、以下「NHKテレビ(同)」65.9%、「ポータルサイト(Yahoo!、Google など)」34.4%、「新聞(全国紙)(同)」33.8%、「新聞(地方紙)(同)」22.2%、「インターネット動画サービス(YouTube、ABEMAなど)」21.8%、「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」21.6%となった(複数回答)。

 年代別に見ると、1位には60代以下で「民放テレビ」、70代以上で「NHKテレビ」を挙げた。2位には20代以下で「SNS」、30代で「ポータルサイト」、40~60代で「NHKテレビ」、70 代以上で「民放テレビ」を挙げている。 

 中国が台湾を軍事的に攻撃するような事態になった場合の日本の関与については、「自衛隊が米軍とともに中国軍と戦う」に74.2%の人が「反対」、「自衛隊は戦闘に参加しないが、米軍に武器弾薬を後方支援する」に反対の人は51.1%だった(図表下)。

新聞の月ぎめ購読率の低下傾向変わらず

 月ぎめ新聞を購読している人は 58.3%で、新聞の種類別では、「全国紙」を購読している人が46.3%、「県紙・地方紙」を購読している人が40.8%、「ブロック3紙」を購読している人が14.4%だった。全国紙を購読しているひとのうち、「紙の新聞」が92.6%、「電子新聞」が3.0%、「両方」が4.3%だった。

 月ぎめ新聞を購読している人は、調査開始の2008年度以降、減少傾向にあり、調査開始以来、2014年度調査で初めて80%を切ったが、その後もさらに減少が続き、今回調査では58.3%となった。新聞の種類で見ると、昨年度から今回調査にかけては、全国紙が3.2ポイント減、県紙・地方紙は1.1ポイント減、ブロック3紙は0.8ポイント増となった。 

 年代別では、月ぎめ新聞を購読している人は、30代で30.3%ともっとも少なく、それ以降、年代が上がるほど多くなり、70代以上で81.3%となった。年代別に昨年度と比較すると、月ぎめ新聞を購読している人は60代を除くすべての年代で減少、中でも20代以下で6ポイント以上の減少となった。

月ぎめで新聞をとらない理由

 月ぎめで新聞をとらない理由としては、「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」を挙げる人がもっとも多く77.7%。次いで「購読料は高いから」(37.4%)、「新聞を読む習慣がないから」(30.0%)、「新聞を読む時間がないから」(25.0%)、「紙の新聞は、処分が面倒だから」(23.6%)を挙げる人が多かった。前回調査と比較すると、「新聞を読む習慣がないから」が3.4 ポイント増加した。年代別に見ると、20代以上のすべての年代で「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」がもっとも多くなった。「新聞を読む習慣がないから」は年代が低いほど多くなる傾向が見られた。 

新聞の記事の満足度

 新聞の各記事について満足層の占める割合を比較すると、「テレビ・ラジオ欄」が44.8%と、テレビ・ラジオなど他のメディアへの窓口としての新聞利用に対する満足度が高いことが分かった。次いで「社会に関する記事」(41.3%)、「地域に関する記事」(41.1%)と、生活に密着した身近な記事の満足度が高い。 

 「社説・解説欄」の満足層は約30%、「文化に関する記事」「国際情勢に関する記事」「生活・健康に関する記事」「経済に関する記事」「スポーツ・芸能に関する記事」「政治に関する記事」の満足層は30%台となったが、不満層も10%を下回っており、「どちらとも言えない」や「ほとんど読まない」が多く、「政治に関する記事」が2.3 ポイント、「社説・解説欄」が2.4 ポイント減少し閲読度が低いことがうかがえる。