【新刊】「人生航路で出会った 百の箴言」飴 久晴著

 25歳で起業し、産業用標準電源メーカー、コーセル(本社富山市)を一代で東証1部(現東証プライム)上場企業に育てた飴久晴氏が、20代の頃から、本や雑誌、新聞などを読みながらノートに書き留めてきた「心に響く文言」の中から、100の言葉を選び、言葉の持つ意味と、独自の視点、考えを書き添えてまとめた一冊。

 ビジネスの世界で知られるピーター・ドラッカーやデール・カーネギー、瀬島龍三、稲森和夫などのほか老子や吉田松陰、伊藤肇など分野を超えて、時代の学者や作家などの言葉をテーマ別に紹介。江戸時代の儒学者、佐藤一斎の言葉「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。只だ一燈を頼め」をはじめ、事業経営のさまざまな局面で感銘を受けた言葉が紹介されている。

 飴氏は1942年新湊市(現射水市)生まれ。高岡工芸高校卒業後、東京芝浦電気(現東芝)に入社し営業マンとして勤務した後、個人商店を同級生と2人で開業。1969年に個人商店を解消し、エルコー(現コーセル)を設立。1994年にジャスダック上場、2000年に東証1部上場を果たした2年後、自身の経営哲学に基づいて60歳で社長を退任し、代表権のない会長に就いた。

 2012年には役員も退いて相談役となり、翌年に相談役からも離れてロバスト経営研究所を設立。現在富山市が主催する「とやま経営実践塾」の塾長を18年にわたって務めている。これまでに267名の修了生を送り出し、若手起業家の育成に力を注ぐとともに助成基金による社会福祉、大学等研究支援も行っている。 

「にっちもさっちもいかない迷った時に、これらの文言を読み返して自身の考えを整理してきた。経営者や部下を持つ人だけでなく、ビジネスマンにもちょっとした胃薬になれば」と語る。

 発行・人材情報センター、A5版。定価2,000円+税。