【三協立山・タテヤマアドバンス×金沢工業大学】コンビニ向け次世代スライド棚を共同研究 店舗オペレーションの省力化目指す

 三協立山(本社高岡市、社長平能正三氏)タテヤマアドバンス社(社長池田一仁氏)と金沢工業大学ロボティクス学科の出村公成教授、鈴木亮一教授は共同で、近未来のコンビニエンスストアでの使用を想定した次世代スライド棚の研究をスタートさせた。

 流通小売業は少子高齢化、働く女性の増加、飲食等デリバリー利用の拡大、電子商取引の普及などによる社会環境や市場の変化により厳しい競争下にある。中でもコンビニでは人手不足が深刻で、チェーン各社は業務負担の少ない店づくりを進め、無人で自動決済できる店舗も登場するなど、今後は店舗のさらなる省力化を目指したロボットの導入が進むと見込まれている。

次世代スライド棚(右)と協働するロボットアームの Sawyer(左・プロトタイプ)。バーコードから賞味期限を読み取り、廃棄すべき商品を認識して、コンテナ(ロボットの左)に入れていく。

 タテヤマアドバンスは店舗用の陳列什器、サイン・看板などの企画、製造、施工、メンテナンスを手掛けており、流通小売業向けの省人化・省力化商品陳列棚、什器の開発・販売を行っている。また、出村研究室は単腕型の協働ロボット「Sawyer」(リシンク・ロボティクス社)を活用した工場自動化のための実証実験を行っており、2021年6月から共同研究を開始した。

 コンビニの日常的な業務である商品入れ替えは手動で陳列棚をスライドさせて行うため手間のかかる作業となっているが、省人化・省力化できれば従業員の負担軽減や店舗運営の効率化が図れる。そのための商品の補充、バーコードから読み取った消費期限切れ商品の廃棄などの入れ替え作業をロボットが操作できるようにする次世代スライド棚を開発するもの。

 出村研究室はロボットとスライド棚のインタフェース、スライド棚開閉部の制御ソフトウエアの開発を手掛け、タテヤマアドバンスはこれまでの店舗づくりで蓄積してきた技術、ノウハウを活かして自動スライド棚とその環境についての検証を担う。

 棚とロボット間の通信には他の電波と干渉しにくい赤外線通信を使い、おにぎりやサンドイッチ、ドリンク、総菜などの陳列や廃棄作業をするプロトタイプを完成させ、このほど愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開催されたロボット競技会「World Robot Summit 2020 愛知大会」の「フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ」部門に遠隔出場、実証実験を行った。

 両者は電子制御された陳列棚と陳列・廃棄作業を行うロボットを組み合わせた研究開発をさらに深化させ、2030年頃を目標に商品化したいという。