【道路メンテナンス年報】橋梁等の2020年度点検結果を公表 富山県の修繕等措置の着手率・完了率は低水準

 国土交通省は橋梁等の2020年度点検結果をとりまとめ 、「道路メンテナンス年報」として公表した。

 橋梁、トンネルなど道路施設の高齢化・老朽化に対応するため、2013年に道路法が改正され、道路管理者には5年に1度の点検が義務付けられている。2018年度に1巡目点検が完了しており、 今回は2巡目(2019年度〜2020年度)の2年目の点検・診断結果、措置状況等をまとめている。

 全国の2巡目点検実施状況をみると、橋梁38%、トンネル34%、道路附属物等40%で実施され、1巡目点検よりも着実に進捗している。富山県内地方公共団体が管理する施設の点検実施状況は橋梁38%、トンネル13%、道路附属物等27%となっており、トンネルの点検の遅れが目立つ。

1巡目点検で判定区分III・IVの修繕等措置の実施状況

国土交通省「道路メンテナンス年報」「各都道府県における道路管理者毎の老朽化対策状況」より作成

 1巡目(2014年度〜2018年度)の点検で早期に措置を講ずべき状態(判定区分III)または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分 IV)と診断された橋梁で、修繕等の措置に着手した割合は2020年度末時点で国土交通省83%、高速道路会社66%、地方公共団体55%であった。完了した割合は、国土交通省42%、高速道路会社45%、地方公共団体35%であった。

 富山県内地方公共団体が管理する橋梁について、1巡目の点検で判定区分III・IVと診断された橋梁は1,284施設あり、そのうち措置に着手済の施設は42%、完了済は20%であった。
 
 1巡目点検で早期または緊急に措置を講ずべき状態と診断されたトンネルの措置着手率は国土交通省90%、高速道路会社90%、地方公共団体76%。完了率は国土交通省70%、高速道路会社80%、地方公共団体48%であった。

 富山県内地方公共団体が管理するトンネルのうち、判定区分III・IVと診断された施設は51施設あり、着手率は57%、完了率は24%であった。

直近5年間で判定区分III・IVの修繕等措置の実施状況

国土交通省「道路メンテナンス年報」「各都道府県における道路管理者毎の老朽化対策状況」より作成

 直近5年間(2016年度〜2020年度)の点検で早期または緊急に措置を講ずべき状態と診断された橋梁の措置着手率は国土交通省57%、高速道路会社40%、地方公共団体39%。完了率は国土交通省14%、高速道路会社18%、地方公共団体16%だった。

 富山県内地方公共団体が管理する橋梁で措置が必要な施設は1,282施設あり、着手率は33%、完了率は11%であった。

 直近5年間の点検で早期または緊急に措置を講ずべき状態と診断されたトンネルの措置着手率は国土交通省63%、高速道路会社60%、地方公共団体62%。完了率は国土交通省23%、高速道路会社42%、地方公共団体30%だった。

 富山県内地方公共団体が管理するトンネルで措置が必要な施設は51施設あり、着手率は55%、完了率は22%であった。

道路インフラの状況をマップで公開

全国道路構造物情報マップで富山市付近の橋梁の状況を表示
Ⅲ早期措置 Ⅳ緊急措置

 道路インフラの老朽化対策状況の見える化を図るため、国土交通省は橋梁、トンネル、道路附属物等の点検結果、措置状況を地図上で閲覧できる「全国道路構造物情報マップ(損傷マップ)」を初公開した。一定レベル以上に拡大表示すると、道路管理者別、都道府県別、健全性、対策状況別の表示設定や一覧表表示ができる。

 各都道府県の道路管理者ごとの老朽化対策状況を視覚化した情報も公開しており、富山県内の橋梁の直近5年間の点検結果は次のとおり。