【新刊】「富山の置き薬」全3巻 配置薬を明るい仕事として次世代に伝える
先用後利という類を見ない信用商法を築き、江戸時代から300年を超えて今に続く富山売薬。現在も全国1万人以上が配置薬業に携わり日本中の家庭、事業所などに「置き薬」を届けている。
本書は富山市の伝統産業である配置薬を「過去のものとしてでなく、明るい仕事ととして次世代に伝えたい」と一昨年、昨年に発刊され、今回発行の第3弾をもって上・中・下全3巻が揃った。
上巻では歴史、中巻では文化、下巻は産業と教育との関係に焦点を当て、全巻を通して経済、文化、学術、政治、教育など様々な分野の人たちが体験した置き薬にまつわるエッセイや座談会、配置薬業界に携わる人たちのインタビューを掲載している。
また昭和初期まで使われた製薬道具、行商に必需な用具の数々、薬品名などが刷られた薬袋、進物用として使われた売薬版画、おみやげ紙風船など配置薬の歴史を伝える資料やエピソードも随所に織り込み紹介している。こうした品々が紙、印刷など周辺産業を育て、富山県の医薬品産業を全国有数のものへと成長させてきたことを思うと古くて新しいビジネスモデル物語としても面白い。
発行は富山市。制作・発売はかまくら春秋社。A5判上製。定価2,750円(税込み)。富山市内の主要書店で販売。問い合わせ先:富山市商工労働部薬業物産課。