ハイアール・日本企業との連携に熱い視線(3) 日本企業との連携の具体例
日本にある熊谷及び京都研究所などは、中国・ハイアール本社の商品開発技術部署と直結しています。研究開発情報は日本と中国・青島と共用されており、その結果、開発の動きも、新製品開発の情報交換も本社と一体化しています。
ビジネスマッチングは、2通りの方法で進められます。
まず、ハイアール アジアが技術ニーズの説明会を開催して、広く企業にその情報を流すことから始まります。これを企業が受けて、応募するかどうか、約1カ月間の時間的な猶予が与えられます。
応募することが決まると、ハイアール アジアは、冷蔵庫と洗濯機であれば、日本国内の研究開発担当チーム(オープンイノベーションチーム)において、2~3週間の時間をかけてその企業を審査します。
最終段階でビジネスマッチングの可否が検討される訳ですが、この時も冷蔵庫と洗濯機の場合は、国内の研究開発チームが判断し、それ以外の調理家電、給湯器、エアコンなどは、中国本社のオープンイノベーションチームが担当し決定を下すことになります(図表)。
図表 ビジネスマッチングの具体的な仕組み
資料 : ハイアールアジアR&D株式会社「ハイアールグループについて」(2021年2月10日)
こうした一般的な手続きのほか、ハイアール アジアが技術ニーズについて日本各地にある産業振興センターなどと連携し、センターを窓口としてその地域に該当する企業があるかどうか、対象企業を絞り込むという選定をお願いするケースがあります。
現在ハイアール アジアと成約に至った東京・大田区の企業のケースは後者です。大田区の企業が保有していた技術は、現在問題となっているコロナ対策(空気中だけでなく机や床に付着したコロナの殺菌等)やホルムアルデヒドなどの空気清浄技術です。
中国・青島のオープンイノベーションチームには、日本語に堪能なスタッフがいることで、技術情報のやり取りもスムースに行われています。
中国側の技術ニーズは多岐にわたりますが、たとえば中国では、介護のような仕事はできるだけ回避したいと考えられており、そのため最初から機械化したいというニーズもあります。一人っ子政策の影響もあり、他人の親の世話をするという感覚はきわめて希薄です。
介護というビジネスは、これから中国で非常に大きなビジネスになると見込まれ、この事業領域で日本企業との連携もあり得るでしょう。
お問い合わせ先 : 実業之富山社/大野 一