【日本国際工作機械見本市】初めてのオンライン展示会開催、12月11日までアーカイブ期間設ける

 最先端の技術・製品が世界中から集結する日本最大級の国際技術展「第30回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2020)」 (主催・日本工作機械工業会、東京ビッグサイト)の会場開催中止にともない、初めてのオンライン展示会が 11月16日から27日までの12日間、Web サイト上で開催されている。

 JIMTOFは1962年に初めて開催、2年ごとに東京ビッグサイトで行われ今年で30回目となるが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が延期されることに伴い、展示会場を計画どおり確保できなくなったことからオンライン開催となった。

 今回は世界9カ国・地域から394社(国内370社、海外24社)が出展。最先端の工作機械やその関連機器・技術分野を動画や資料コンテンツで幅広く紹介し、チャットやアンケート、ワークショップを活用して商談の機会も提供する。

 距離と時間の制約に対応するための工夫も試みられている。オンライン展示会は11月27日17:00までだが、会期後12月11日17:00までアーカイブ期間として閲覧できる。

 富山県内からは、キタムラ機械(高岡市)、スギノマシン(魚津市)、津根精機(富山市)のほか、工場のある不二越が出展している。各社の主な出展商品を紹介する。

【キタムラ機械】
同時5軸制御立形マシニングセンタ MedCenter5AX

 直径170mm~1,000mmまでの加工に対応する6機種をラインアップ。機械幅1.2m、奥行2.1mと公衆電話ブース並みにコンパクトな機体でも、直径230mm×高さ175mmの加工に対応し、「世界最小スペース」という。独自の工具交換装置の開発により、省スペース機では不可能だった40本の工具収納も可能にした。

 標準搭載した毎分3万回転の高速主軸では、直径50mm、長さ200mmの大型工具の搭載も実現。従来の常識を覆す異例の大径工具採用により、負荷の大きい難削材の加工の生産性向上が期待できるという。位置決め精度は0.002mm/フルストロークの高精度、オプションで最大12面パレットまで拡張可能。

 高分解能光学式スケールフィードバックや独自の熱変位補正システムを標準装備し、微細複雑形状の長時間加工でも高精度加工を可能にした。同社独自のCNC装置「Arumatik-Mi」の最新型へのバージョンアップもでき、今回の展示に合わせ有償で実施するキャンペーンも実施中。

 このほか、文部科学大臣賞を受賞した世界初の「顔認証機能付きマシニングセンタNC操作盤」(特許取得済)や、世界最高速度フルスペック横形マシニングセンタ「Mycenter-HX250iG」、最高級国際ミーハナイト鋳物を使用した高剛性門形構造で大物加工に最適な「BRIDGEcenter-6G」などを紹介している。

【スギノマシン】スイングアーム式コラムロボット

工作機械内部への設置イメージ

 産業用ロボット「スイングアーム式コラムロボット」の小型タイプ。工作機械の室内に組み込んでのワークの搬入出作業を想定し、制御軸数を4軸(従来機種6軸)に最適化。軽量アームと高剛性リンク構造により高速動作を可能にした。

 コンパクトでも上下ストローク390㎜を実現、可搬質量は標準で7kg(従来機種15kg)と軽量。ロボット本体上部へアームの飛び出しがなく、狭いエリアでの作業が可能。システム化も容易で工場の自動化に対応する。販売価格は350万円(税別)から。初年度20台を販売目標におく。

高圧水部品洗浄機向け省エネパッケージ「JCC-ECO

 高圧水部品洗浄機のベストセラー「JCC」シリーズに対応する省エネパッケージ。

 部品を洗浄するために必要な水の圧力は1つの部品でも洗浄箇所によって異なるが、従来のポンプの駆動方式では一定の圧力でしか水を噴射できず、無駄な消費電力が発生していた。省エネパッケージの導入により、サーボモーターとインバータで圧力を自在に制御することができ、消費電力を抑える。

 また、従来の方式では頻繁にポンプの運転・停止を切り替えることができず、洗浄していない時間も稼働していたが、省エネパッケージで導入するサーボモーター駆動式ポンプ(写真)は運転・停止を瞬時に切り替えでき、無駄な消費電力を削減できる。

 NCプログラムから洗浄の圧力を自在に変更することができ、塗装剝がれ・鋳剥がれを防止する。ポンプの圧力を上げるまでに必要な昇圧時間を大幅に短縮し、サイクルタイムの短縮を実現した。2020年11月より改造に対応し、2021年4月以降発売の洗浄機に標準装備として搭載予定。

【津根精機】
全自動式丸鋸切断機TK160GL

 大型タッチパネルを採用し、より高い操作性を実現、機械扉やチップコンベヤの設計変更により機械設置に必要なスペースを削減した、TK5C-160GL/200Gのリニューアルモデル。切粉飛散防止シャッタをオプション採用し、よりクリーンな作業環境を提供する。中小企業経営強化法に基づく減税対象に認定されている。

 同社は切断機と工具の両方を独自開発する世界唯一のメーカーであり、丸鋸切断機やパイプ材の両端加工機、超硬チップソー、超硬ソリッドソー、ハイスメタルソーなど切断機用鋸刃を出展している。

【不二越】
超硬エンドミル「アクアREVOミル」

 硬さと靭性を両立した超硬素材を新開発し、材料、形状、コーティングの全てを一新したアクアREVOシリーズの第3弾。不等分割・不等リードを採用し、びびり振動を抑制して安定・高効率加工を実現した。耐熱性・耐熱衝撃性を高め、ドライ加工・ウェット加工の両方で優れた耐久性を発揮する。一般鋼からステンレス、高硬度材まで幅広い被削材に対応できる。

 同社は工作機械エリアと機械工具エリアの2カ所に出展しており、このほかにも旋削と穴あけ機能を付加した歯車複合加工機「スカイビングギヤシェープセンタ」、JISC0級レベルの加工が可能な新型ねじ研削盤、ハードブローチ盤、シャフトワークに特化した新型のパワーフィニッシャなどを紹介している。特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」では製品紹介のほか、オンラインセミナーなども開催している。