2020年度グッドデザイン賞 富山県関係から5件
日本デザイン振興会(東京)が主催する2020年度のグッドデザイン賞に、富山県関係からはYKK(本社東京、事業所黒部市、社長大谷裕明氏)、シーケー金属(本社高岡市、社長釣谷宏行氏)、タカタレムノス(本社高岡市、社長高田和喜氏)、富山大学芸術文化学部・富山工業高校建築工学科が受賞した。このほか、県内に工場を持つ皮膚保護クリームのユースキン製薬(本社神奈川県、代表野渡和義氏)も選定された。
今年のテーマは、デザインにおいて他者や社会、環境などについて考え、それに応えることを示す「交感」。4,769件の応募があり、審査対象の中から974社・1,395件が受賞した。
【YKK】スライドファスナー「ビスロン マグネットファスナー」
マグネットの磁力により左右の開具を近づけるだけで自動的にファスナーが組み合う仕組みのファスナー。手に障害のある人々にとってファスナーの付いた服は自身だけで着ることが難しいとの意見を受けて開発された。マグネットが不用意に周囲の金属に付かないよう、磁力はコントロールされており、幼児やシニア、障害者のほか、素早い着脱を想定したスポーツシーンにも活用できるユニバーサルデザイン。
ファスナーの付け根の着脱を磁石を用いて簡単にできるようにした発想に加え、安全性を考慮して磁力をコントロールするなど、「微細な配慮に優れた製品」として評価され、特に優れている「ベスト100」に選定された。
【シーケー金属】管継手「いきなり溶接サドル つるぴか君」
溶接部の亜鉛めっきを完全に取り除いているため、時間のかかる亜鉛除去のサンダーがけが不要で、溶接時に有害な亜鉛ガスが発生しないなど、作業者に優しいサドル。溶接加工するパイプにジャストフィットするよう、機能を兼ね備えた美しい曲線でデザインされ、一定の厚みにすることで作業効率を向上させた。配管用の溶接サドルという一般消費者の目には触れにくい製品だが、プロの使用者への大規模な調査によって問題点を発見し、現場の作業性を飛躍的に高めたプロダクトとして高く評価された。
【タカタレムノス】ストロー+壁掛け時計
ストローは、熱伝導率の高いアルミの特性を生かし、スプーンとストローが一体となったデザイン。ストローをくわえた際にひんやり感を楽しむことができ、スプーンの部分もアイスクリームを程よく溶かして食べられる。使い捨てプラスチックストローの代替としての需要も期待される。
壁掛け時計「CARVED」は、モダンでシンプルなデザインながら、仕掛け時計の細工にユーモアが盛り込まれており、仕掛けが目立ちすぎることなく、インテリアに心地よく溶け込む点が評価された。
【富山大学芸術文化学部×富山工業高校建築工学科】戸建て住宅「街のヴォイドに開く町家」
高岡市に建てられた戸建て住宅「街のヴォイドに開く町家」は、敷地を3分割した配置で、通り庭と通り土間を作り、町屋の細長さを豊かさに変えようとする意欲が評価された。空き家が増えて街が歯抜け状態になった場合でも、それを肯定的に捉えて楽しく住むための提案を行っている。