【大建工業×日本音響エンジニアリング×武蔵野美大】アフターコロナの豊かな音環境づくり 音響パッケージブースを製品化

音響パッケージブース イメージ図

 住宅資材の総合メーカー、大建工業(本店南砺市、社長億田正則氏)と武蔵野美術大学(学長長澤忠徳氏=富山市出身)ソーシャルクリエイティブ研究所、日本音響エンジニアリング(本社東京、社長山梨忠志氏)は、豊かな音環境を生み出すための共同研究を開始した。

 外部からの雑音や残響音、話し声が聞き取りにくい環境は、心的疲労に影響しやすいとされている。新型コロナ禍によって在宅勤務やオンラインを日常的に利用するスタイルが普及し、音環境に関心を持つ人が増えているなか、3社は「公共施設や住宅など、身近な空間における豊かな音環境構築とデザイン」をテーマに共同開発研究に取り組む。

 大建工業は建築音響製品の研究開発・製造・販売を従来から手掛け、 日本音響エンジニアリングは音響測定や評価、設計技術を強みとしている。また、武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所は社会問題の解決や新たな人類価値の創出を目的2019年7月に設立され、優れたデザイン空間の社会実装に向けた研究活動を進めている。

 3社は3年間をめどに、誰もが使いやすく快適な音響空間を実現する「音響パッケージブース」の製品化を目指す。まずはリモート配信者と視聴者双方にとっての心地よさや臨場感、伝達力などの視点から、現状の音環境の実態を計測・評価して可視化した上で、豊かな音環境づくりを目指した「サウンドスケー プデザイン」のあり方を研究する。

 音響パッケージブースはテレワークやリモート配信が快適に行える空間として少人数での利用を想定しているが、将来的には、さまざまなイベントや会議、セミナーなどを開ける比較的大型のパッケージ空間や、個人利用を目的としたモバイルスタジオなどへの展開も検討する。

 大建工業は、研究で得た成果を、2017年より販売している国産木材を有効利用した木質化空間パッケージ「ウッドキューブ」のバリエーション展開に活用することも想定している。

 武蔵野美術大学造形構想学部の若杉浩一教授は、コロナ禍で出現した新しいコミュニケーションの場における豊かなデザイン(音環境、映像、照明、空間の質)の重要性を説き、「中でも音の問題は、授業内容の理解度や心的疲労に影響を与え、コミュニケーションの最も重要な要素」としている。共同研究プロジェクトではあわせて、豊かな音環境や新しいサウンドデザインの啓蒙活動も進めていく計画。