新型コロナウイルス感染拡大に伴う「人への接触」関連支出の変化
新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う外出自粛要請や緊急事態宣言発令により、外食、娯楽、旅行のための外出機会が大幅に減少している。富山第一銀行はスマートフォンアプリの機能を用いて「人への接触」に関連する支出がどのように変化したのか、トレンド調査を行った。
同行のファーストバンクアプリサービス内の個人資産管理機能「一生通帳by Moneytree」の利用者のデータを用いて、2019年と2020年のそれぞれ第1週から第18週までの期間の支出データを集計した。調査対象は同機能の利用者のうち1081名。
消費者目線からコロナ禍における経済活動の変化をとらえるため、①電車、②航空券、③居酒屋・バー、④レジャー、⑤ATM引き出しの5つのカテゴリーについて1人あたりの1週間の支出平均推移を調べたところ、2020年の「人への接触」関連支出は2019年と比べて減少傾向にあり、特に緊急事態宣言後は大きく減少していることがわかった。
①電車については2020年は2019年より全体的に支出が減少し、緊急事態宣言発令後は顕著に減っている。

電車に対する支出の推移
②航空券も2020年は2019年より全体的に減少傾向にある。
③居酒屋・バーへの支出は緊急事態宣言以降ほぼ0だった。

居酒屋・バーに対する支出の推移
④レジャーは2020年2月中旬以降で2019年より支出が減少。ゴールデンウイークも支出は伸びていない。

レジャーに対する支出の推移
⑤ATM引き出しは2020年は2019年より全体的に減少しているが、キャッシュレス普及の影響も考えられるとしている。
「一生通帳by Moneytree」はマネーツリー(東京)が提供するサービスで、富山第一銀行はアプリやデジタル戦略の一環として2018年に導入。同行の口座情報のほか、他行の口座や証券会社・クレジットカード・電子マネー・ポイントカードなどの残高や利用明細を一元的に表示できるのが特長。今回の調査もマネーツリーと共同で行った。
出典:富山第一銀行「新型コロナウイルス感染拡大に伴う、「人への接触」関連支出の変化 」
生活者の約4割、緊急事態宣言解除後も「外出を控える」
新型コロナウイルス感染拡大による外食、娯楽、旅行等に関連する消費への影響等を把握するため、野村総合研究所は全国約1万人の生活者を対象に、4月下旬と5月下旬の2回にわたりインターネットアンケート調査を実施した。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2月以降、緊急事態宣言発令前までは、外食、娯楽、旅行のための外出を行わなかった生活者は29.3%であったが、緊急事態宣言発令期間中(4月7日〜5月14日)は生活者の63.6%がこれらの外出を一度も行っていなかった(図表1)。
緊急事態宣言発令期間中に外食、娯楽、旅行のための外出を一度も行っていない生活者を対象に、緊急事態宣言が解除された後の行動について質問したところ、外出を再開すると回答した人は33.4%で、残りの66.6%はこれらの外出は控えると回答した(図表2)。生活者全体では約4割が解除後も外出を控える意向を示している。
外出を控える理由では、「新規感染者数は減少傾向にあるものの、まだ感染リスクは高いと考えているため」(75.9%)が最も多く、「同居する家族に感染によるリスクが高い人がおり、感染させたくないため」も3割近くあった。
「感染リスクが高い」という生活者の意識が長期化すれば、各地域の様々な関連産業に対してさらに甚大な被害を及ぼすと考えられるため、政府や自治体は感染防止の徹底と社会・経済活動の回復との両立に向けて、地域の実態に合わせて日常生活や経済活動の行動指針を提示する必要があるとしている。
出典:野村総合研究所「新型コロナウイルス感染拡大が外食・娯楽・旅行関連消費に与える影響」