最近の県内企業業績:金剛薬品、中越レース工業、協和ファーマケミカル、太平
【金剛薬品】売上経常利益率は3期連続3.1%維持 健康食品を医薬品に次ぐ成長の柱に
海外や国内の製薬会社の特約店として医薬品原薬、化学工業薬品、ビタミンやミネラル・栄養機能食品素材などを取り扱う専門商社であり、健康食品の提案から製造までを手掛けるメーカー商社。バイオテクノロジーを駆使する日本初の研究開発型ベンチャーのニッポンジーン(富山市)、動・植物病の受託検査サービスのニッポンジーンマテリアル(同)や、緑化事業・樹木等の病害虫防除のコンゴーグリーン(新潟市)など、ヒト・動物・植物・環境ビジネスに関わる全ての分野を事業領域とする企業グループ。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)業界や健康食品向け需要の伸びに支えられ、2019年12月期の売り上げは6期連続増収で創業以来の記録を更新した。営業利益、経常利益は横ばいだったものの最終利益は対前年を上回り増収増益となった。過去10年間で売上高1.5倍、経常利益1.8倍、最終利益では3倍の成長を辿っている。2%台だった売上高経常利益率も3期連続して3%台を維持。牽引してきたのは、2019年12月期で売り上げ全体の45%(133億7,000万円)を占める医薬品業界向けの伸びによるところが大きい。
少子高齢化によって年々医療費が増加、これに伴い国は継続的な薬価の引き下げを強化しており、新薬企業は主力薬の特許が切れ始めたことで利益が低下、後発薬企業も開発コストは低いものの新薬の半分以下の価格になるため、薬価抑制策は企業収益に大きな影響を及ぼす。さらに国が後押しして2020年9月までを目標とする後発薬使用率80%もほぼ近づいており、後発薬に参入する新薬企業の増加もあって医薬品メーカーの競争は激しくなっている。
こうした環境の変化を見据え、医薬品に次ぐコア業界として成長の照準に置いているのが健康食品業界だ。2019年4月に子会社の太陽エフ・ディ(徳島市)敷地内に新工場(写真)が完成、稼働した。1972年に健康食品を受託製造する100%子会社として創業、食品添加物をはじめ錠剤、顆粒剤、ハードカプセルなどのバルク製造から充填・包装までの一貫生産ラインを整えている。
新工場はラクリス、ビフィズス菌、EC-12、ラブレ菌、納豆菌、酵母、麹菌など有用菌を使った菌製剤の生産も受託できる健康補助食品GMP適合認定工場。新工場の稼働により、2019年12月期の食品業界向け売り上げは対前年比8%増の92億円となったが、主力の錠剤の生産能力が増えただけでなく、食品添加物の受注生産にもを入れて一両年には100億規模に届く見通しだ。
【中越レース工業】黒字、復配果たすもコロナの影響深まる 無償減資を実施、新資本金5,000万円に
染色・整理加工工程を備える刺しゅうレースの老舗。大手アパレルメーカー向け女性用インナーを主体に、婦人用フォーマルウエアや自動車用のシートカバーを手掛けるほか、子会社のニット事業で医療用包帯、自動車用部材も。刺しゅう技術を活かした独自商品でニッチの非衣料分野開拓、通販、EC販売向けに販路を広げるなど事業構造の改革で収益改善が進む。
2019年12月期は売り上げが回復し、外注してきた染色・整理加工工程を内製化、操業度向上による生産体制の効率化、ニット部門の貢献などで、当初の計画を上回る営業黒字に転換、増収増益と復配にこぎつけた。増収増益は3年ぶり、復配は2010年12月期以来9期ぶり。6月1日付けで、資本金1億1,0665千円を発行済株式総数の変更を伴わない無償減資を行い新資本金を5,000万円とし、中小企業の税制メリットを取り込んで収益基盤強化を狙う。
大手アパレル向けインナーレースの受注価格は依然厳しいが、欧州の最新トレンドを取り入れたデザイン企画が好評で「前年比倍増した」(山崎勉社長)。フォーマルウエアの服地、ベビー用レースも一定量の受注を確保、レースの売り上げは対前期比8%増えた。ただ、利益率の高い大型高級車向けシートカバーは「高級車の売れ行き低迷と、レース使いからレザーシートへ素材転換が進んだ」ため大きく落ち込んだ。
ニット部門はエンジンブロックで使われる自動車用部材が好調だった。受注量を大幅に増やし設備稼働率が高まった。さらに刺しゅう技術を施した参拝記念用の授与品がアイテム、数量とも好調に伸び、増収益に貢献した。
新型コロナウイルスの影響でアパレル業界はじめ事業環境の先行き不透明感が強まっており、同社も例外でない。2020年12月期は売り上げ10億円台に置き、前年並み利益を維持するのが目標だ。補正下着などのインナーレースは引き続き海外の新デザイン導入による企画提案を強化して受注増を図るほか、景気動向に左右されることの少ない婦人用フォーマルウエア、授与品などの受注を拡大、さらに生産工程見直しによる原価低減で粗利益の改善に力を入れる。また8年ぶりに新卒および中途採用を行い、デザイン部門などの人材投資を強化する。
ニット部門では「医療用パッチ製品の開発を3社共同で進めており、改良を重ねながら現在臨床段階に入っているほか、刺しゅうレースの機能を活かした医療用メディカル製品も開発中」で、刺しゅうレースの技術を基盤にした新分野開拓に磨きをかける。
【協和ファーマケミカル】
【太平】