【桝田酒造店】富山競輪場の施設所有権及び土地を売却 地元企業としてのかかわり途絶える

富山競輪場(ドリームスタジアムとやま 富山競輪場公式サイトより)
桝田酒造店(本社富山市、社長桝田隆一郎氏)はこのほど、酒造業とともに事業経営の柱としてきた富山競輪場(富山市岩瀬池田町)の施設所有権及び土地を、エンターテインメント事業のミクシィ(東京、東証マザーズ)の子会社で競輪・オートレース車券のインターネット販売サイトを運営するチャリ・ロト(東京)に売却した。富山競輪場の敷地面積は、施設42,000平方メートル、建物10,000平方メートル、駐車場80,000平方メートルの約13万2,000平方メートル。売却額は公表していない。
1948年、戦災都市復興並びに地方財政に寄与するため自転車競技法(通称・競輪法)が制定・公布されたのに伴い、富山市は戦後の復興資金の財源を捻出するため競輪事業を行うことになった。1951年、競輪場施設賃貸事業会社として富山地所(国際競輪、富山競輪を経て1960年4月に社名変更)が設立され、333メートルの短走路バンクの競輪場を建設、富山市は主催者として同社から土地と建物を賃借し、同年から富山競輪を開催してきた。現在、競輪場は全国に43場、施設所有者から賃借している競輪場は5場あり、富山競輪はその一つだ。
その後、桝田酒造店が2006年9月に富山地所を吸収合併し同社の不動産部門として経営し、2010年から業務運営を日本写真判定(東京)に委託してきた。今回の施設所有権及び土地の売却で1951年4月から競輪事業を経営してきた地元企業としてのかかわりは途絶えることになる。
同社の2019年8月期の競輪賃貸料収入は2億7,500万円で、総売上高は酒造部門5億3,400万円、その他を合わせ8億3900万円。営業、経常収支ともに赤字だった。
チャリ・ロトは今年4月から岡山・玉野競輪場の再編整備事業の事業者に選ばれており、今後は施設所有者と競輪場運営事業の2つの立場から将来的な施設改修を含め、富山市全体を盛り上げる地方創生・地方活性化に取り組むという。