【スギノマシン】新開発のセルロースマイクロファイバーのサンプル提供開始

CMFの外観
産業用機械メーカーのスギノマシン(本社魚津市、社長杉野良暁氏)は、タカギセイコー(本社高岡市、社長高木章裕氏)および富山県立大学と共同で開発したセルロースマイクロファイバー(CMF)のサンプルの提供(有償)を開始した。樹脂関連メーカーや化学メーカーに提供することで商品化の可能性を探る。
開発したCMFは平均繊維径が数マイクロメートルで、表面にはナノ化された繊維構造が枝分かれしており、従来のセルロースナノファイバー(CNF)よりも樹脂に添加したときの引っ張り強度や弾性率が高く、線熱膨張率を低減するという効果がある。フィラー(充填材)の補強および線熱膨張低減というニーズに対応するとともに、環境に配慮した植物由来の次世代フィラーとして開発された。
タカギセイコーは、このCMFを用いて樹脂複合材料や自動車部材向けに成形したサンプルを製作し、「第10回 クルマの軽量化 技術展」(2020年1月15~17日、東京ビッグサイト)に出展した。

ポリプロピレンとCMFの30wt% マスターバッチ
今回提供するのは、①BiNFi-s(ビンフィス)セルロースマイクロファイバー100gパックと②BiNFi-s(ビンフィス) セルロースマイクロファイバー30wt% PP マスターバッチ100gパックの2製品。提供期間は2020年3月2日〜2022年3月31日まで。価格は非公開としているが、サンプル提供期間内は特別設定価格で提供するという。
<問い合わせ先>
スギノマシン 新規開発部
〒937-8511 富山県魚津市本江 2410番地
TEL:0765-24-5118 FAX:0765-24-5119
E-mail: binfis@sugino.com
NEDOなど、「CNF利用促進のための原料評価書」公開
植物由来の新材料として多様な応用が期待されるセルロースナノファイバー(CNF)の実用化や普及を促進するため、2017年度から「木質系バイオマスの効果的利用に向けた特性評価」に取り組んできたNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、CNF原料評価手法に係る開発成果などをとりまとめ、「セルロースナノファイバー利用促進のための原料評価書」として3月26日公開した。
同資料は森林研究・整備機構森林総合研究所(森林総研)、産業技術総合研究所(AIST)、東京大学、京都大学、京都工芸繊維大学、大阪大学、東京工業大学、スギノマシン、第一工業製薬、三菱鉛筆と共同で、原料の物性を明らかにしつつ、原料をパルプ化、CNF化して、これらの特性を明らかにし、原料の性質と関連させたCNFの性質を横断的に示したもので、さらにCNFを利用する製品メーカーなど(増粘剤、ゴム製品、プラスチック製品など)の事業者で実施したCNF適性評価で得られた結果を併記している。
ウォータージェット装置を使ってパルプからCNFに加工する手法を紹介したスギノマシンなどの評価書を公開することで、生物素材である木質系バイオマスを工業原料として、CNFの材料メーカーや製品メーカーなどの幅広い利活用につなげることができるとしている。
「セルロースナノファイバー利用促進のための原料評価書」概要版は産業技術研究所中国センターホームページで公開している。