佐藤工業などゼネコン20社、人工知能画像解析を応用した「配筋検査システム」を共同研究開発
佐藤工業(本店富山市、社長宮本雅文氏・資本金30億円)など総合建設会社(ゼネコン)20社は、施工管理者の習熟度によらない効率的で正確な配筋検査を可能とし、建設現場における適切な配筋施工の実施を支援するシステムの共同研究開発を進めている。
近年、建築・土木工事の躯体作業において、熟練工の減少や品質管理の厳格化が顕著になり、ゼネコン各社が共通して抱える大きな課題になっている。こうした技術課題をAI(人工知能)で解決し、建設業全体の技術力を高度化しようと、20社による共同研究開発契約に基づき、2019年4月にスタート。共同で研究開発を推進することにより、さまざまなアイデアが取り入れられ、短期間で高い成果につなげることを狙いとしている。開発期間は約2年間。
開発を進めているのは、タブレット端末を使った「配筋チェック機能」と、特殊カメラなどを使う「配筋検査機能」の2つの機能を統合したシステム。近年発達の著しいAIを活用することで施工品質の向上と検査業務の効率化をめざす。
2020年度には「配筋チェック機能」の現場試行をスタートする。配筋チェック機能では配筋写真を撮影し、ディープラーニング(深層学習)と画像処理の技術により撮影された配筋の径と本数、ピッチなどを算出する。
「配筋検査機能」では、配筋映像を撮影して三次元的に配筋形状を自動計測する。そのデータを検査項目に合わせて変換・照合することで、配筋検査帳票へ自動入力ができるようになり、配筋検査の半自動化が図られるという。
これら両機能において必要となる設計データは、基本フォーマットを検討したうえ、AIエンジンでデータベース化する。将来的には各社での現場試行・改良を繰り返すことで、システムの性能を向上させていく方針。
研究に参加している20社は次のとおり。青木あすなろ建設、淺沼組、安藤・間、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、髙松建設、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組、矢作建設工業。