【北陸アルミニウム】日本製高品質商品に重点、販売チャネル再構築へ 「センレンキャストシリーズ」販売累計100万個突破

 国内シェアトップのフライパンをはじめ圧力鍋などのハウスウエア、アルミキャスト建材・インテリアなどの内外装製品、押出成形品のアルミ製品総合メーカー。アルミ日用品を手掛けてから今年で創業90周年を迎える。ベトナムに建材工場をもつほか、関係会社にアルミとステンレス製調理器具メーカーのウルシヤマ金属工業(新潟市)を有する。

 2019年9月期の売上高は価格競争の厳しい主力部門のハウスウエアの販売チャネルを大幅に見直したことなどから対前年比4.6%減少し、4年ぶりに40億円を下回った。建材でもオリンピック関連施設や駅の改修、ホテルなどの新築需要が終盤を迎え、落ち込んだ。

 一方で低価格の輸入品に押されてきた日用品のうち、フライパンの「センレンキャストシリーズ」が「昨年末で累計100万個を突破、ナショナルブランドとして安定商品に成長」(荒井社長)したほか、鍛造加工で変形に強い「IHミエリ」などの新商品寄与、生産ラインの見直しや作業効率の改善に加え、アルミ地金価格の値下がりもあり営業利益率は同比1.3ポイント改善、6割の増益となった。

 センレンシリーズはアルミとマグネシウムの合金で、鉄やステンレスのフライパンに比べ素材重量は3分の1と軽く、テフロンコーティングに硬質セラミック、特殊硬質下地処理を含むテフロン加工の最高級グレード商品だ。

 2020年9月期は増収増益を見込んでいる。ハウスウエア部門の通販・専門店チャネル強化が浸透、とくに「アマゾンをはじめ中国のアリババ、リアル店舗と通販で急成長している京東などの大手通販と組み、日本製品による高品質付加価値商品の扱いを増やしていく。来年度は中国市場向け売り上げで3億円、数年後で5億円規模にしたい」(荒井社長)。その後パートナーを開拓してベトナム、シンガポール、インドネシアにも広げたいという。

 国内でもさらに専門店ルートを広げる。業務用、家庭を問わず食の調理方法は変化し進化しており、国内で業務用が主体だった、スチームと熱で料理するスチームコンベクションマシンの家庭用商品の開発も計画中だ。

上野駅の「TRAIN SUITE 四季島」専用プラットホーム

 建材部門では「生産量の確保はもちろん、記憶に残る製品づくりを目指したい」(同)。昨年は大阪のきんでん本社ビル、イチネンビル、JR東日本が運行する上野駅発のクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トラン スイート しきしま)」の専用プラットホームなどを手掛けた。また従来からのオフィス関連・ホテル向けバンケットチェアのほか、近年地下鉄車内に設置されている付属部品の鉄製からアルミ製品への置き換えが進んでいて、こうした新規分野の受注も増えている。