【北陸電力】電線離隔器工事にロボット導入 産学共同で、電力会社初の実用化

 北陸電力(本店富山市、社長金井豊氏)はこのほど、配電工事の中でも最も頻度の高い電線離隔器工事の省人化と作業員の負担軽減を図る配電工事用ロボットを全国の電力会社で初めて実用化し、北陸三県を中心とした工事現場への導入を開始した。

 電線離隔器は高圧電線を空中で途中切断し、仮設開閉器と組み合わせることによって作業停電の範囲を縮小する仮設備機材。同社が行う年間約9万件の配電工事のうち、電線離隔器工事は約1万件と最も頻度が高い。工事は、作業員2人が高所作業車のバケットに乗って上昇した後、重さ約10キロの工具を持ち上げて電線を切断し、電線離隔器を取り付けるもので、負担が大きい。

配電工事用ロボットを使っての電線切断作業

 今回、導入した工事用ロボットはモーターと歯車を組み合わせ、伸縮や回転など6方向の動きをもつアームを搭載した補助型ロボット「アシストアーム」。高所作業車のバケットにアームを取り付け、グリップ操作で電線の被覆剥ぎ取りや切断、接続などの作業を行う。接続スリープの挿入などの細かい作業は作業員が行う。重い工具を持ち上げる必要がなく、従来2人を要した作業が1人でこなせるうえ、作業時間の短縮も可能になった。

 高度経済成長期に施設された大量の配電設備が高経年化し、今後、設備の取替需要の増加と機能維持に加え工事の人材不足が課題となるなか、2015年から関啓明金沢大学教授、工作機械メーカーのスギノマシン(魚津市)と共同開発を進めてきたもので、ロボットと人の協働により、作業の省力化・環境改善に大きな役割を果たす。

 同社では2020年3月までに、北陸三県の各支店やグループ企業の北陸電気工事を含め11台を導入し順次拡大していく計画。また「改良を加えながら電線離隔器以外の現場の人手不足解消につなげるロボット化も検討していきたい」という。