【CEATEC2019】ITとエレクトロニクスの総合展示会 北陸電気工業、YKK APも出展

 国内最大級のITとエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC 2019」が「つながる社会、共創する未来」をテーマに10月15日~18日の4日間、千葉市の幕張メッセで開催された。昨年の725社・団体を上回る787社・団体が出展し、登録来場者数 は 144,491人となった。 

 CEATECは2000年に第1回CEATEC JAPANとして開催、デジタル家電とそれを支える電子デバイスの見本市として発展してきた。16年には脱・家電見本市を宣言し、CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoTの総合展へと衣替えした。20年目となる今年はこれまで以上に世界での存在感を増す目的で、地域性を示す「JAPAN」の文字を外し、新たなスタートを切った。それを象徴するように、海外企業・団体の出展が昨年の19カ国/地域・206社から24カ国/地域250社へと大幅に増加している。

 県内関係企業からは北陸電気工業(本社富山市、社長多田守男氏)、YKK AP(事業所黒部市、社長堀秀充氏)が出展した。

北陸電気工業/5G、IoT分野に照準、最新の受動部品や世界最小・超高速の湿度センサなど

 同社は、スマートフォンやタブレット向けモジュール製品、抵抗器、センサなどを主力としており、自動車や第5世代移動通信システム(5G)、IoT関連向けのセンサ、受動部品を出展。自動車分野はAIを活用した危険予測や安全運転を支援するコネクテッドカー、電動車(xEV)の普及で車載機器の電装化率も高まっている。それを支えるのがMEMS技術を使った同社のセンシングデバイスだ。

容量式湿度センサ

 今回の展示で目を引いたのは、このほど発表した湿度を超高速で感知する容量式センサ。応答時間は従来製品の最速8秒を1秒に縮めた世界最速を実現したモデル「HSU-CHM-04A」。材料や構造を見直し、大きさも2㎜四方、厚さ1.25㎜の業界最小クラスで、広範囲の駆動電圧(1.62~5.5V)に対応し、スリープ時の消費電流は最大400nA、温湿度検出時10µA(Typ.)と低消費で、保存温度の範囲はマイナス50℃~125℃の機能特性を特徴とする。

応答性比較

 「湿度の正確な感知と素早い応答が必要とされるエアコンや冷蔵庫など民生品の省エネ対策だけでなく、用途はCPA(持続的気道内陽圧)装置や人工呼吸器の医療機器分野など幅広く、特に車の曇り検知など車載用エアコン向けなどから既に引き合いを受けている」(同社高周波部品事業本部)と言う。

YKK AP/IoTを活用した戸締り安心システム「ミモット」

 YKK APは、2019年4月にサービスを開始した窓やドアの戸締り安心システム「ミモット」をメインに紹介。外出する際の窓・ドアのカギの締め忘れ、うっかり忘れを防止するもので、窓に設置されたクレセントセンサーや、玄関ドア電気錠(スマートコントロールキー)がカギの締め忘れを察知し、受信機から専用のクラウドサーバーを通じて、スマートフォンに通知される仕組み。IoTを活用し、スマート社会の実現に向けた未来の暮らしを支えるソリューション商品だ。

 窓のセンサーはクレセントと呼ばれる鍵を回したときの力で発電し、特定小電力の電波で受信機と通信する技術を活用、センサーは電池や配線は不要だが、家庭にWi-Fi機能付きブロードバンドルーターの設置と専用アプリが必要である。価格は受信機1台+窓クレンセントセンサー1カ所で7万円から。利用料金は月々500円。

 このほか、スマートフォンとの連携で遠隔操作ができる窓用の電動シャッターや引違い窓、勝手口ドア、玄関ドアも出品した。電池を搭載しないセンサーを窓などに設置する使い方は、例えば遠隔地に住んでいる家族の家のトイレなどにセンサーを付けることで、電池を交換しなくても見守りができるほか、学校施設の窓などいろいろなところに広げられるという。

 CEATEC 2019では特別企画も催され、幕張新都心の公道でハンドルのない自立走行バスの体験や、大手ゼネコンのMR(複合現実)を使った施工の効率化、インフラ補修、作業者の安全見守りなどセンシング技術やICTによる支援サービス、ANAホールディングスによる、遠隔地をつないで釣りや美術館巡りなどさまざまな体験ができるアバターを使った新しいライフスタイルの取り組みも紹介された。また学生来場者が出展企業からプレゼンが聞けるオープンステージなどが設けられた「学生交流ラウンジ」が初めて設けられた。