高岡市美術館で「明治金工の威風」展を開催 高岡の名品が一堂に、東博収蔵品の里帰り展示も

横山彌左衛門「頼光大江山入図大花瓶」(東京国立博物館蔵)

 高岡市美術館の特別企画展「明治金工の威風-高岡の名品、同時代の名工」が9月20日から始まった。同館所蔵の作品をはじめ、東京国立博物館や東京芸術大学の収蔵品を多数加えた明治期金工の名品102点が勢ぞろいし、超絶技巧の世界へ誘う。会期は10月20日まで。

 高岡は加賀藩二代藩主・前田利長以来、金属工芸の町として栄え、明治期には高い技と発信力をもって国内外の博覧会で多くの賞を受けた。企画展では、高岡で生まれた名作を展示して地域の工芸史に光を当て、国際的に活躍した同時代の金工家による仕事も紹介する。
 
 同展は、今年から本格実施された東京国立博物館所蔵品貸与促進事業の採択を受け、32点の収蔵品が貸与された。同事業は東京国立博物館の収蔵品のうち地域ゆかりの作品を地方の公立博物館・美術館に貸与するもので、2019年度は高岡市博物館のほか、三重県立美術館、三内丸山遺跡センター、大分県立先哲史料館、千葉県立美術館にも貸与されたが、大規模貸与(20~50点)は高岡市美術館のみとなる。
 
 東京国立博物館収蔵品の里帰り展示で目玉となるのは、高岡の名工・横山彌左衛門の「頼光大江山入図大花瓶」(東京国立博物館蔵)。1873年のウィーン万国博覧会にも出品された高さ約127cmの大作で、四方からその精緻な造形を鑑賞することができる。

鈴木長吉「鷲置物」(東京国立博物館蔵)

 同じく里帰り展示の国指定重要文化財「鷲置物」(東京国立博物館蔵)は、高岡市出身の美術商、林忠正と関係の深い名工・鈴木長吉が制作したもので、東京芸術大学所蔵の下絵も同時に見ることができる。

 期間中、関連行事として9月21に黒川廣子東京藝術大学大学美術館教授による記念講演が行われ、9月28日には学芸員によるギャラリートーク、10月12日には村上隆館長による館長トークが開催される。