国内主要都市の「都市総合力」ランキング 総合1位は京都市、富山市は27位

 森記念財団都市戦略研究所はこのほど、国内72都市と東京23区を対象に、都市力を相対的・多角的に分析した「日本の都市特性評価 2019」を発表した。各都市の都市政策立案に資することを目的に、都市の強みや魅力といった都市特性を明らかにしたもので、昨年に開始し、今年が2年目となる。

 昨年初めて発表した際には、都市の特性を客観的に評価した新たな指標として地方自治体や経済団体などから大きな反響があったという。今年は指標の半数以上についてデータを更新し、都市を取り巻く環境変化を反映させるために新たな指標を追加している。

 国内の主要72都市は、①政令指定都市、②県庁所在地の都市、③人口20万人以上かつ一定の昼夜間人口比率の都市から選出した。都市特性評価では、都市の力を構成する要素として6分野(経済・ビジネス、研究・開発、文化・交流、生活・居住、環境、交通・アクセス)を設定し、26の指標グループと83の指標を選定して評価した。

分野別トップ10および総合トップ10

 昨年に続き1位となったのは京都市で、2位の福岡市、3位の大阪市も前年と変わらない。以下、横浜市、名古屋市、神戸市、仙台市、札幌市、金沢市、松本市と続く。

 1位の京都市は「文化・交流」分野で2年連続の首位となり、昨年調査では2位だった「研究・開発」分野でも名古屋市を抜いてトップとなるなど、文化資源と知的資源の両方で突出した強みをもつ。

 2位の福岡市は「経済・ビジネス」「交通・アクセス」「研究開発」「文化・交流」で高い評価を得、今年は「生活・居住」分野でも躍進した。3位の大阪市は「交通・アクセス」と「経済・ビジネス」が国内トップ、「文化・交流」も2位となるなど、人とビジネスの集積と交流を誇る。

 金沢市(昨年11位)と松本市(同13位)は初めて総合トップ10入りした。金沢市は文化・歴史・伝統への接触機会が多いことから「文化・交流」で7位、「生活・居住」でも14位と高評価を得た。個別指標では「外国人住民の受け入れ体制」や「居住環境の満足度」などでスコアを伸ばした。

富山市:ファミリーには好評だが、シングルは低評価

 富山市は総合で27位となり、昨年の21位よりランクを下げた。分野別にみると、「生活・居住」は昨年の5位より下がったものの10位に入った。「環境」は昨年の16位から20位となった。「経済・ビジネス」では48位(昨年49位)、「研究・開発」で43位(昨年と同じ)、「文化・交流」で50位(同)、「交通・アクセス」で45位(昨年46位)だった。

 今回は分野別に加え、都市の特性を「人」の視点で評価するため、「シングル」「ファミリー」「シニア」「経営者」「従業者」「観光客」の6つのアクター別スコアを算出している。富山市は「ファミリー」では10位と高位につけ、「シニア」で18位、「従業者」でも17位となった。一方、「シングル」は51位、「経営者」で48位、「観光客」で49位と振るわなかった。