シアター・オリンピックス黒部会場となる前沢ガーデン野外ステージで完成記念公演
今夏に富山とロシアで行われる国際演劇祭「第9回シアター・オリンピックス」の会場となる黒部市の前沢ガーデン野外ステージが演劇祭のための改修工事を終え、完成記念公演として6月21、22の両日、日本側芸術監督・鈴木忠志氏(劇団SCOT主宰)の代表作「ディオニュソス」が上演された。
21日は招待者向けの公演が行われ、中国、インドネシア、日本の俳優らが母国語で演じた。あいにくの雨の中の開演となったが、野外劇場ならではの自然と一体となった開放的な空間と幻想的な演出で観客を魅了した。
シアター・オリンピックスは鈴木忠志氏、テオドロス・テルゾプロス氏など世界各国で活躍する演出家・劇作家により1993年にギリシアのデルフォイにおいて創設された国際的な舞台芸術の祭典。世界第一線の演出家による最先端の舞台芸術作品の上演のほか、ワークショップやシンポジウムなどの教育プログラムも行われる。
1995年のギリシアを皮切りに8カ国で開催され、今回は日本では20年ぶりの開催、初のロシアとの2カ国共同開催となる。YKK・YKK AP取締役の吉田忠裕氏がシアター・オリンピックス2019実行委員会会長を務め、日本では8月23日から9月23日まで南砺市の利賀芸術公園と黒部市の宇奈月国際会館「セレネ」、前沢ガーデン野外ステージにて開かれる。
前沢ガーデン野外ステージは、YKKの創業50周年を記念して建てられたゲストハウス「前沢ガーデンハウス」(設計・槙文彦氏)の敷地内に設けられた円形の劇場で、丘陵の地形や樹木などを背景に演じられる。今回は1989年の竣工以来初めての改修工事で、老朽化した手すりや床板などを直し、照明器具を取り付けるポールも設置。来場者のための屋外休憩施設「白花亭(はっかてい)」も開設した。
8月20日には東京の東京會舘において第9回シアター・オリンピックス開幕式が行われ、8月23日より利賀会場での「リア王」、黒部会場での「羯諦羯諦」を皮切りに計30の演目が上演される。チケットは各公演2,000円、前売りは6月30日から。