【太平】本社工場に生産・管理体制を集約 戦後最大の大型設備投資に10億円

 南砺市福光にある機械・電気機器用の合成樹脂製品メーカー。敷地の一部がバイパスの建設予定地となった高宮工場(同市高宮)の一般・電気機器部品を製造する射出成形設備を、本社工場敷地内で建設していた新工場に2018年12月移設・増強を完了。本社工場のFRP(繊維強化プラスチック)及び炭素繊維複合材料による機能部品とともに、一工場に生産・管理体制を集約した。総事業費は10億円、高宮工場の土地(14,000平方メートル)収用に伴う受取補償金と一部借り入れで調達した。

 2019年1月期の売り上げは11億8,000万円と6.6%増えたが、前年同期の増収率に比べて約半分となったことから経常利益、最終利益はそれぞれ21%、25%の減益だった。同社の戦後最大の設備投資となった工場・新築を記念して1円増配し、年6円配当とした。20年1月期は新工場建設に伴う償却負担が重しとなり収益の低下はしばらく避けられない見通しだ。

 製品別の売り上げで見ると、電気機器部品(2億円)では設備投資抑制の影響から電力用高圧電線連結ロープが12%減収となり、半導体装置用真空ポンプ、コンプレッサーの各部品なども落ち込んだ半面、一般機械向け(5億1,600万円)では耐蝕ポンプ部品や工作機械向けツールポットなどが堅調、中国のウォータージェットルームの需要好調でボビン(1億3,900万円)も1割の増収となった。

コアローラ:特殊ガラステープと熱硬化性樹脂を用いたFRP製芯に、不織布、ゴム及び熱可塑性樹脂などを被覆したパイプ

 特に樹脂、繊維及び添加剤の複合技術による自社開発の熱硬化性樹脂複合材料(タイカグライド)を使ったボルト・ナットのほか、光学フィルムやリチウムイオン電池の電極箔を巻くローラーなどFRP製品の需要が大きく伸びている。ローラーは、特殊ガラステープと熱硬化性樹脂を使った巻き芯で、用途、仕様に応じて繊維向けの不織布、摩擦係数が高く軟らかいものから硬いものまでに対応できるゴム、摩擦係数が低く耐摩耗性に優れた熱可塑性樹脂の3タイプがある。

タイカグライド(炭素繊維複合材料)による工作機械向けツールポット

 タイカグライドは、RoHS(電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合による指令)に対応したノンアスベスト材料であり、特に省資源と長寿命化、傷がついても表層部分だけの修復が可能な、廃棄物の発生を少なくするリデュース(排出抑制)としての評価が高い、エンジニアリングプラスチック。同社商品を差別化できる材料として、真空ポンプ、コンプレッサー、ガスメーターなどの産業機器、工作機械、繊維機械部品に広く応用されている。

 

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