【日本抵抗器製作所】4期ぶりに売り上げ60億円台乗せ、経常益過去最高 ダイヘン向けの売上比率14%から22%に
創業から84年、産業用抵抗器老舗の日本抵抗器製作所(本社南砺市、社長木村準氏)は現在、子会社10社でグループを構成、自動車、農電機器、住設機器向け抵抗器・ヒーター、センサ・ポテンショメーター、ハイブリッドIC、電子機器を手掛ける。
子会社の日本抵抗器大分製作所、サンジェニックスで生産、日本抵抗器が生産管理、品質管理し、日本抵抗器販売が販売を担う。子会社で「世界一の癒しロボット」といわれるアザラシ型ロボット「パロ」の開発も。ハイブリッドIC、電子機器を製造する中国・上海のほか、2015 年 1 月にタイに販売子会社を設立、アジア地域での自動車や産業用電子機器などの販売拡大を目指している。
2018年12月期は、売り上げこそ期初予想に届かなかったが、4期ぶりに60億円台を回復、経常利益は大幅に上方修正し過去最高を記録した。半導体装置用電子機器が国内向けに好調、海外も風力発電用の電流センサーなどが伸びたことなどで、売上高は対前年比15.2%増収の67億5,200万円だった。
ポテンショメーター(5億7,200万円)は2.2%減少したものの、産業機器、エレベーター向けなどの抵抗器(15億6,800万円)で5.9%増えたほか、半導体装置用電子機器が32億6,800万円と33.9%も伸びた。特に販売先でロボット関連のダイヘン産業機器への売り上げが対前期の8億円から14億6,300万円へ一挙に81%増え、売り上げ全体に占める比率は同13.8%から21.7%に高まったのが目立つ。

開発中のユビキタス面触覚センサー。車用シートに装着してドライバーの運転姿勢を検出したり、衣服や靴底に装着して運動記録に用いたりする。
売上高を地域別でみると、国内(53億9,300万円)、欧州(5億9,400万円)でいずれも15%台の伸び、アジア(7億3,800万円)9.9%増、北米も微増ながらいずれも前年を上回った。
収益も大幅増益だった。「製造現場では電子機器の実装システムに双腕ロボットを導入、抵抗器ラインでも省力化投資を進め生産性を3割程度改善できた」(同社)ことから、販管費の14%上昇を吸収してなお営業利益41.5%増、経常利益51.1%増の増益を計上し、従来10円を予定していた期末配当を25円に増配した。
5月15日に発表した第1四半期連結の売上高は15億5,300百万円(前年同四半期比10.4%減)で、営業利益、経常利益、最終利益ともに50%強の減少となった。ただ2018年12月末現在、抵抗器は対前期末比22.3%増、センサ・ポテンショメーターなど電流センサーで同比21.8%増の受注残を確保しており、自動車業界のEV・HIV化を背景に旺盛な需要が続くと見込んでいる。
「今期は中国工場に自動巻線機やビジュアルチェッカーを導入し、引き続き納期短縮と生産性を上げるための合理化に重点投資する」(同社)計画で、2019年12月期も前期並み水準とした通期の連結業績見通しを変えていない。売上高は0.7%増の68億円、営業利益、経常利益ともに3億4,000万円と微減ながら、最終利益は2億1,000万円の0.5%増益としており、25円配当を据え置く方針だ。