訪日旅行者の「道の駅」認知度19%、多言語対応や免税対応などが課題
観光庁は「道の駅」のインバウンド対応に関する実態の把握と課題解決に向けて、今年1月〜3月、運営者ならびに利用者(訪日旅行者)に対してアンケート調査を実施した。
1.利用者(訪日旅行者)に対する調査
利用者に対する調査として、6空港(新千歳、羽田、中部国際、関西国際、福岡、那覇)で帰国便搭乗直前の訪日旅行者に対してヒアリングを行った。

訪日外国人旅行者の交通機関の利用割合
交通機関の利用割合は鉄道が70%と最も多く、バス(54%)、新幹線(29%)、タクシー(28%)がこれに次ぐ。レンタカーについては12%が利用しており、訪日回数が多いほど利用率が増加していることもわかった。今後のリピーター増加に伴い、レンタカー利用はさらに増加すると予想している。

訪日旅行者における「道の駅」の認知度
一方、訪日旅行者における「道の駅」の認知度は19.4%にとどまり、大半の旅行者は「知らない」「聞いたことはあるがよく知らない」などと回答した。ただ、レンタカー利用者に限ってみると認知度は39%に上がり、実際に訪問した人も多かった。
「道の駅」訪問経験がある訪日旅行者に認知経路を尋ねたところ、「通りがかり」が70%を占め、事前に認知していた割合は低かった。「道の駅」訪問の目的、実際に行ったことではともに「休憩」「飲食」「地域の特産品/みやげ品の購入」が多数を占めた。

直近に訪れた「道の駅」で不満に感じた点
「道の駅」訪問経験がある訪日外国人の67%は「とても満足」、31%は「やや満足」と回答しており、満足度は高い。不満に感じた点としては、「観光案内が外国語に対応していなかった/少なかった」「免税対応していなかった」「物販の商品説明がなかった/少なかった」「施設内の案内表示が理解できなかった」など、多言語対応や免税対応などの不満が多かった。
2.施設運営者に対する調査

外国人旅行者が多く訪れている「道の駅」における各取組の実施状況
施設運営者に対するアンケートをもとに、外国人旅行者が多く訪れている「道の駅」で実施している外国人向けの取り組みについて集計したところ、「無料Wi-Fiの設置」(92%)、「地域の観光協会との連携」(71%)、「地域の観光施設・宿泊施設との連携」(59%)などは実施割合が高かったが、「対面での観光案内/ツアー案内」「多言語コールセンター・通訳機器/アプリの導入」「外国人向けのアクティビティ」など、多言語対応に関する取り組みは実施割合が少なかった。
外国人旅行者が多い「道の駅」で、施設運営者が訪日旅行者の「道の駅」訪問目的と考えていることとして、「物販/飲食のため」と「個人旅行者のトイレ休憩のため」が80%を超え、「周辺の観光地/観光資源の情報収集を行うため」は55%だった。
JNTO認定「外国人観光案内所」を設置している「道の駅」の割合は13%にすぎず、外国人が多く訪れている「道の駅」でも28%と低かった。

今後の外国人旅行者の受入意向
今後の外国人旅行者の受入意向については、全体の60%が「受け入れたい」との意向を示し、外国人旅行者が多い「道の駅」では73%となった。今後のインバウンド対応についても、「取り組みを増やしたい」との回答が59%となった。
観光庁は、「道の駅」のインバウンド対応拠点化に向けて施設運営者と連携し、認知度の向上と情報発信の強化、多言語対応や免税対応、物販の商品説明等の受入環境の整備、JNTOが実施して いる外国人観光案内所認定の取得促進などの取り組みを進めていく方針。