「患者副作用報告」本格稼働へ ウェブと郵送で副作用報告を集め、安全対策に生かす
厚生労働省は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で試行的に受け付けてきた患者からの医薬品副作用報告の結果を踏まえ、3月26日よりウェブおよび郵送での患者副作用報告の受付を開始した。
「患者副作用報告」は、国内で製造販売されている医療用医薬品、要指導・一般用医薬品を対象に、患者や家族から副作用報告を広く集めることで安全対策に生かす取り組み。薬害肝炎事件を契機として、再発防止のための医薬品行政のあり方が検討され、欧米各国で導入されている患者からの副作用報告制度の創設の必要性が指摘された。これを受け、2012年3月よりPMDAのホームページに患者副作用報告システムを開設し、試行的に患者または家族からの副作用報告を受け付けてきた。
今回の本格運用に合わせ、これまでのウェブシステムのほか、紙媒体の郵送による報告も受け付けられるようにした。報告は個人情報などが分からない形でデータベースに蓄積され、ホームページ上で患者からの副作用報告の状況を公表するほか、厚生労働省と情報共有する。厚労省はPMDAから定期的に受けた報告について安全対策措置の検討を行うとともに、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会に上げ、必要に応じて対策を講じる。
PMDAの試行運用では、2012年3月から18年3月までに計717件の報告があった。医療用医薬品を少なくとも1つ含む報告は676件、一般用・要指導医薬品を少なくとも1つ含む報告は43件。報告の多い医療用医薬品の薬効分類は、ワクチン類、精神神経用剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、解熱鎮痛消炎剤で、一般用・要指導医薬品では、鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤、総合感冒剤、鎮咳去たん剤だった。また、副作用の報告では頭痛(127件)、倦怠感(83件)、浮動性めまい(69件)、悪心(60件)となっている。