老後に備えた貯蓄意向、富山県は46位 食・健康への意識も低位
人生100年時代の到来と言われるなか、メットライフ生命保険が全国47都道府県の20歳~79歳までの男女14,100人を対象に「老後」に関する調査を実施し、その結果を公表した。2018年6月、各都道府県で性・年代別に30人ずつ、インターネット調査した。
1.世代別
世代別にみると、60代~70代では「老後に不安がない・あまりない」と回答したのは26.4%。そのうち41.8%が「資産運用をしている」と回答した。一方、「老後に不安がある・ややある」と回答した人(73.6%)のうち、「資産運用をしている」割合は31.3%だった。金融資産額は「老後に不安がない・あまりない」と回答した人の平均で2,653 万円、「老後の不安がある・ややある」と回答した人の平均は1,545 万円で、約1,100 万円の差があった。
「自らの老後について不安を感じるか」という質問では、40代で87.6%と最も不安度が高いが、それを過ぎた50代以降は減少傾向にある。また男性に比べて女性の方が老後に対する不安度が高いという結果になった。
老後に対する不安要因として、20代~50代では共通して「お金」が最も高い不安要因となっており、20代では「認知症」が、30代~50代では「健康」がこれに次ぐ。60代~70代では「健康」がトップ、以下「認知症」「自らの介護」と続き、「お金」は4番目だった。
「老後と感じるきっかけ」は、20 代~30 代では「60 代になったら」「年金を受給し始めたら」「退職したら」が上位となった一方で、60 代~70 代では「身体が思うように動かないと感じたら」「気持ちが老け込んだら」という自らの実感をあげる人が多かった。
「何歳まで生きたいか」聞いたところ、60代~70代が84.5歳と最も長く、年代が下がるほど短くなった。また、ほとんどの年代で平均寿命(男性81.09歳、女性87.26歳)より低く想定している結果になった。
老後に積極的に取り組みたいことは、男女ともに「趣味」「旅行」「家族で過ごす」がトップ3。「友人と過ごすこと」は女性では4位だったが、男性では6位となるなど、男女間で差がみられる。
2. 地域間調査(都道府県版)
都道府県別にみると、地域差の目立つ項目が多かった。以下、各設問について回答割合の高い方から3位まで、低い方から3位までの都道府県と、富山県が何位であるかを表にした。富山県に対する従来のイメージとは異なる結果となっていることが興味深い。

表1

表2

表3

表4
表1~4は資産に関する設問で、富山県は「老後に備えて計画的に貯めている」が46位と最下位に近い。富山県は勤労者世帯貯蓄額では常に上位にあるが、「老後に備えて」という意識はそれほど強くないのかもしれない。「老後の備えを資産運用の資金として使いたい」は19位、「資金運用経験がある」は20位と、かろうじて中位にある。

表5

表6
表5、6は健康に関する設問で、富山県は「食生活をとても意識している」「運動をとても意識している」ともに43位である。食や健康づくりに関する環境は恵まれている方でありながら、他県に比べ関心が薄いというのは意外な結果である。

表7

表8

表9
表7~9は人とのつながりに関する設問で、富山県は「現在の住まいで近所づきあいが、ある」が43位、「配偶者と過ごす時間が楽しい」が45位だった。離婚率では低い方から3番目であるが、配偶者との関係は必ずしも良好ではないのかもしれない。近所づきあいも昔ほど重視されていないようである。「万が一ご自身に介護が必要になった場合、自宅介護を希望する」は17位だった。