【ゴールドウイン】好業績に拍車、中期計画前倒しで上方修正
ゴールドウイン(本店小矢部市、本社東京、社長西田明男氏、東京1部)の好業績に拍車がかかる。2018年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比16.2%増の334億円、営業利益が2.2倍の31億円、経常利益76.8%増で、純利益は46.8%の増益だった。売上高は9期連続の増収、営業利益、経常利益ともに4期連続の増益となり上期の過去最高益を更新した。
主力ブランド「ザ・ノース・フェイス」や「ヘリーハンセン」などのアウトドア事業の売り上げが同26.7%増の234億円と引き続き業績を牽引した。「エレッセ」「スピード」などアスレチック事業は4.4%減の73億円、ウインター事業は1.9%減の7億円に止まったが、「スポーツや健康への関心が高まり、機能ウエアの着用が春夏通じて日常化してきた」(西田社長)ことが追い風になっている。とくに、直営店やeコマース販売による自社で直接運営する自主管理売り上げの拡大、卸売り店舗の好調などで販売効率を上げ在庫リスクを大幅に軽減し、製造原価の低減が大きく奏功。営業利益率は前年同期の4.9%から9.4%と4.5ポイント改善し、収益を押し上げた。
下期も秋冬商品を中心にアウトドアブランド事業の好調に加え、アスレチック事業の体制強化により営業利益率の改善が進み、2019年3月通期見通しを上方修正した。売上高は800億円と前期比13.6%の増収、営業・経常・純利益ともに2ケタの増益伸びを見込んでいる。17年3月期を初年度として掲げた中期経営計画(5年間)の数値目標は、18年3月期に営業・経常利益は3年前倒しで達成、売り上げでも2年前倒しで達成することになる。
創業70周年を迎える2020年に向け基本方針を、「Goldwinをはじめオリジナルブランドの拡充とリテールを重点に置いた自主管理型ビジネスの強化などで収益構造を強固にし、積極的に海外での店舗展開を図りたい」(西田社長)とした。こうした方針のもと中期計画最終年度にあたる21年3月期には当初計画の売上高800億円から900億円に、営業利益を65億円から110億円、経常利益を73億円から115億円にそれぞれ上方修正した。そして19年3月期での予想ROE(株主資本利益率)は18.0%、21年3月期でも15.0%以上が目標だ。
またSpiber(本社山形県鶴岡市)と協業開発している新世代高機能素材「人工クモ糸繊維」による商品化について「第3世代に相当する技術レベルまで進んでいるが、事業化の確定には至っていない」(同)という。
好業績を背景に株主配当も引き上げる。19年3月期から中間配当16円を実施、期末予想の37円と合せ53円とする。18年4月1日付で1株を2株に株式分割しており、分割前に換算すると前期の85円から106円に増配することになる。
売り上げを牽引しているのは「ザ・ノース・フェイス」や「ヘリーハンセン」などのアウトドアブランド事業。今期はさらに「ゴールドウイン(Goldwin)」、「ウールリッチ(Wool Rich)」などの新ブランドを加えて、マルチブランド戦略を強化する。中でも同社が半世紀以上にわたりスキーウエアで開発技術を積み上げてきた自前のオリジナルブランド「Goldwin」を、新しいライフスタイルに合ったカジュアルウエアへも積極展開する。
丸の内に自前ブランド「Goldwin」の旗艦店、南青山に「ウールリッチ」
その第1弾が11月8日に東京・丸の内にオープンしたゴールドウイン初の直営旗艦店だ。
新店舗は「Goldwin Marunouchi (ゴールドウイン 丸の内)」。丸の内のメインストリートである丸の内仲通りと皇居前広場に接し、11月8日に開業した丸の内二重橋ビル内の大型複合商業施設「二重橋スクエア」1階の路面店。東京駅から歩いて数分程度、日比谷駅や二重橋前駅からも地下道で直結している。ゴアテックス3層素材を使用したスキージャケットや防水透湿性に優れナチュラルな風合いの素材で仕立てたフード付きコートなど、タウンユースも提案する。
また、米国ブランド「ウールリッチ(Woolrich)」の旗艦店を9月29日、東京メトロ表参道駅から徒歩約2分に立地する南青山に出店。
ゴールドウインは、2017年にウールリッチの日本国内における事業展開に向けてウールリッチジャパンを設立。新たにゴールドウインがデザインなどを手掛けた機能性ウエアを日本発の企画としてスタートした。180年を超えるブランドの歴史の中で機能性、洗練されたデザインで変化を遂げてきた「ウールリッチ・ジョン・リッチ&ブロス(Woolrich John Rich & Bros.)」コレクションや実用的なワークウエア、アウトドアウエアを展開する。