【田中精密工業】新社長に田中英一郎代表取締役副社長執行役員の昇格内定
ホンダ系の自動車、オートバイエンジン部品を主力とする田中精密工業(本社富山市・ジャスダック)は田中英一郎代表取締役副社長執行役員が4月1日付で新社長に昇格する。金森俊幸社長は取締役に退き、6月下旬開催予定の株主総会後に相談役に就く。創業75年を来年に迎えるタイミングで、創業家出身をトップとする新体制の下で収益・事業基盤のさらなる強化と発展を目指す。
田中氏は創業者の故田中儀一郎氏の孫で、2代目社長の田中一郎氏の長男。1975(昭和50)年10月富山市生まれ、99年3月名城大理工学部卒業。大同特殊鋼を経て2003年1月に田中精密工業に入社。15年4月執行役員として、同社グループの生産設備や金型のほか、F1・インディカーのレース用エンジン用部品などを製作するタナカエンジニアリング代表取締役社長を兼任。17年田中精密工業取締役常務執行役員、18年取締役専務執行役員を経て、21年4月から現職。約14年ぶりに創業家が経営の中心を担うこととなる。
世界的なコロナ禍による影響を受け自動車市場は販売不振にあり、さらに脱炭素社会の実現に向けた自動車のEV化など関連する製造業界を取り巻く環境変化は大きい。ロッカーアームなど自動車のエンジン部品が売上高の約65%を占めている同社にとっても影響は小さくなく、20年3月期から2年連続の赤字を余儀なくされてきた。
18年6月から社長を務める金森氏はこの間、希望退職による人員削減、生産拠点の統廃合などコスト削減に向けた組織改革と、車載発電用エンジン部品やアルミダイカスト技術を活用した電動化領域への強化を牽引。2021年4~9月期決算で黒字転換を達成し、22年3月期でも最終利益5億円の計上と年6円の復配を見込むなど、事業の構造改革効果で経営立て直しに一定の目処をつけ新体制に引き継ぐ。