【ニッポンジーン】CRISPR/Cas9ゲノム編集技術に関してERSゲノミクスとライセンス契約

 金剛薬品グループの検査・診断薬メーカー、ニッポンジーン(本社東京、事業所富山市、社長金山晋治氏)はこのほど、ライフサイエンス研究に革新をもたらしたとされるゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)」の技術特許に関して、アイルランドのバイオテクノロジーベンチャー企業ERSゲノミクス(CEOエリック・ローズ氏)とライセンス契約を結んだ。

CRISPR/Cas9の模式図

 これによりニッポンジーンは国内でゲノム編集に関連する幅広い研究用試薬を供給することが可能になり、CRISPR/Cas9技術を使用した研究用試薬の開発、製造販売に本格的に取り組む。

  CRISPR/Cas9はバクテリアなどが持つ免疫の仕組みを利用し遺伝情報(ゲノム)を書き換える技術。Cas9という酵素で効率よくDNAを切断し、切断した場所の遺伝子の働きを失くしたり、別の遺伝情報を加えたりしてゲノム編集を行う。

ライセンスを得て販売している製品の一つ「CUGA7 gRNA Synthesis Kit」のキット

 同技術は、2012年にエマニュエル・シャルパンティエ氏(独マックス・プランク感染生物学研究所長)とジェニファー・ダウドナ氏(米カリフォルニア大バークレー校教授)が発表。従来のゲノム編集の手法に比べて遺伝子中の狙った場所を確実に切断でき、手間なく簡単にゲノム編集ができることから、遺伝子を短時間・高効率で改変することが可能になり、医療や農業など世界中の生命科学の研究現場で利用されるようになった。両氏は2020年のノーベル化学賞を受賞している。

 ERSゲノミクスはシャルパンティエ氏が持つCRISPR/Cas9の基本的な知的財産を非独占的に幅広く活用するため、2013年にシャルパンティエ氏らが共同で設立した会社で、50以上の特許を世界80カ国以上の研究機関や製薬企業の研究開発向けにライセンス供与を行っている。ニッポンジーンではCRISPR/Cas9のライセンスを得たことでゲノム編集関連の研究用試薬の拡充に弾みをつける。