【YKK】新めっき技術で有害物質を100%除去し環境負荷を大幅低減  第三者機関のLCA調査で立証

 YKK(本社東京、事業所黒部市、社長大谷裕明氏)が開発したブラス材向け新めっき技術「 AcroPlating(アクロプレーティング)」 が、第三者認証機関であるピーターソン・プロジェクトによるライフサイクルアセスメント(LCA)調査において環境負荷を低減することが立証された。

AcroPlating® による表面処理(スライダー、スナップ・ボタン)

 YKKは2019年に「アクロプレーティング」を開発、従来のめっき薬品を一切使用せず、シアン、クロム、セレンなどの有害物質を完全に排除することに成功した。同年よりアクロプレーティングを使ったファスナー(スライダー)とスナップ・ボタンの販売を開始した。

 LCAは、製品の原料採取から生産、流通・消費、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体における環境負荷と潜在的影響を定量的に調査する手法。スナップ・ボタンについては20年4月にピーターソン・プロジェクトによるLCA調査を実施済みで、今回、ファスナーにおけるLCA調査を実施したところ、従来比で有害廃棄物は100%除去、熱エネルギー使用量は100%削減、温室効果ガス排出量は96%削減、水使用量は66%削減、電力使用量は69%削減という結果を得た。これによりファスナーとスナップ・ボタンの両商品でアクロプレーティングが環境負荷を大幅に低減することが示された。

 シアン、クロム、セレンを100%除去したアクロプレーティングは人体や生物の健康への悪影響を減らし、製造工程の作業環境改善にもつながった。

 同社は、2050年までに「気候中立」を達成するための持続可能性目標「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定し、「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5テーマに関連する10項目の目標達成に取り組んでいる。アクロプレーティングはそのうちの「気候」「資源」「水」「化学物質」の4テーマにおける取り組みの一環。

 同社では、再生PETや植物由来ポリエステル、海洋プラスチックゴミを使用したファスナーなど環境配慮型商品の開発を積極的に進めるとともに、アクロプレーティングや、水をほとんど使用しない染色技術「エコ・ダイ」など、環境配慮型技術の深耕を進めている。

 4月には「テクノロジー・イノベーション・センター」を新設し、これまで取り組んできた要素技術開発を継続・強化しつつ、積極的に新たな技術や知見を取り込んでいく考え。