【大学発ベンチャー設立状況調査】全国の企業数過去最高の2,901社に 富山県は最下位が続く
大学発ベンチャー企業がイノベーションの担い手として期待されるなか、経済産業省が実施した2020年度実態等調査によると、2020年10月時点において確認された大学発ベンチャー企業数は2,901社となり、2019年度調査から335社増加した。
設立状況調査は全国の大学、高等専門学校、TLO、インキュベーション施設、都道府県庁を対象に実施。対象機関1,108件中、818件の回答があった(回収率73.8%)。
2014年度以降、企業数は毎年増加傾向にあるが、2020年度は増加数、企業数ともに過去最高となった。2019年度調査以降に新設した企業が200社あるほか、前回調査で把握できなかった企業197社も今回調査に含まれる。閉鎖した企業は36社、大学発ベンチャーではなくなった企業は62社だった。
定義別にみると、「研究成果ベンチャー」(56.4%)が最も高いが、その割合はやや低下傾向にある。「学生ベンチャー」(22.1%)、「関連ベンチャー」(11.6%)がこれに続く。

関連大学別大学発ベンチャー企業数(2020年度)
業種別では、「バイオ・ヘルスケア・医療機」が906件と最も多く、次いで「IT(アプリケーション、ソフトウェア)」867件、「その他サービス」861件と続く。上位3業種は他業種に比べて前年度比の伸び率も高くなっている。
関連大学別のベンチャー企業数は、昨年度調査に引き続き東京大学が最多となった。これに続く京都大学、大阪大学、筑波大学、東北大学等の伸びも目立ち、多くの大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる。富山大学は4件、富山県立大学は2件だった。
都道府県別大学発ベンチャー企業数は、東京都が最も多く927社と全体の32%を占める。大阪府、京都府、神奈川県、福岡県がこれに続く。富山県は3社にとどまり、全国最下位だった。富山県は長年下位グループに属し、2014年度以降は最下位を続けるなど低調ぶりが目立つ。

都道府県別大学発ベンチャー企業数(2020年度)
2020年12月に行った大学発ベンチャー実態調査では、コロナ禍の影響についても尋ねている。回答のあった432社のうち、「調達先候補との接触が難しくなった」企業が99社、「調達検討が止まった」企業が51社、「調達予定が見送られた」企業が48社あった(複数回答)。融資に関しては「新規調達が決まった」企業が86社あり、投資を通じた資金調達と比べポジティブな影響も見られた。
人材面では「予定通り採用した(コロナ禍の影響はなかった)」企業が100社あり、コロナ禍によるネガティブな影響は資金調達ほどは大きくない。また、事業運営への影響は「変化なし(コロナ禍の影響はなかった)」企業が215社で最も多い。一方、社外との関係では「他社とのアライアンス予定が延期」といった機会損失も目立つ。
出典:「令和2年度大学発ベンチャー実態等調査結果概要」経済産業省