ハイアール・日本企業との連携に熱い視線(4・最終回) ハイアールアジアの技術ニーズ

 ハイアールアジアの技術ニーズについて詳細に触れる予定でしたが、現在、ハイアールアジアが昨年の技術ニーズを大幅に改定する作業をしており、今回紹介する技術ニーズは、昨年の内容となっております。ただ昨年の技術情報とはいえ、冷蔵庫や洗濯機の基本的な改良方向に違うことはありませんので、十分参考になるのではないかと思います。

洗濯機(例:日本の技術ニーズ)

 洗濯機に求められていた技術ニーズのひとつは、選択洗浄水向けオゾン水生成装置です。この技術の狙いは、衣類の除菌、洗濯槽の洗浄・防カビなどを目的としています。いくつかのオゾン生成装置はありますが、コスト面をクリアするのはなかなか難しいのが実情です。

 一般的に家電製品に実装する部品や素材は、千円あるいは数百円単位で積み重ねられていくものであり、最終製品コストに極力影響を及ぼさないことが前提です。いくら優れた技術であっても、価格競争力やデザイン性などを損なうようなものとなると採用されることはありません。

冷蔵庫(例:日本の技術ニーズ)

 冷蔵庫の場合、洗濯機と同様、単価の安い部品・素材を求めていると同時に、限られたスペースにうまく収まることが重要です。庫内のスペースを大きく削ることになるような技術となると、例え優れた技術であっても採用されることはありません。

 昨年求められていた技術ニーズは、冷蔵庫用冷媒流量調整バルブです。冷却ユニット室を効率的に使用するために、省スペースと同時にコストダウンを達成できる機能を持つようなバルブです。

 もうひとつは、ナノサイズのエアロゲルでしたが、これは断熱性には優れていることは良く知られていますが、やはりコストが高いことと粉末であるためにハンドリングが難しいという問題を抱えています。

 エアロゲルには、樹脂との相性、微粒子であるため大量にエアロゲルを投入することができない難点があります。結果としてこれまでの研究では、エアロゲルが本来持っている断熱性の特性を、冷蔵庫に100%発揮することができない。もし、これをクリアするような技術があれば、共同開発の可能性は高いと言えます。

中国側の技術ニーズ

 中国側の技術ニーズは、多岐にわたるため、1~2の例示に留めます。
 ひとつはオーブンの内壁に塗布できるような断熱コーティング材です。オーブンは傷に強くなければならず、しかも材質の特性として、繰り返される高温と低温に耐えられることが求められます。

 もうひとつ例示すると、家庭用レンジフードに使用できる油煙浄化技術です。家庭で調理中に大量に発生する油煙には、粒子状物質とVOC(揮発性有機化合物)などが混在しており、それらを自動的に浄化できるような技術かシステムです。

 以上、ほんの一例を挙げたまでですが、ハイアールアジアとしては、日本企業との連携を大変重視しており、連携を緊密化することにより次世代の家電製品を共に創造していきたいと考えております。

 また、ハイアールアジアとして最新の技術ニーズの情報を富山県内の企業に提供する機会をいただければ、テレビ会議の形式にはなると思いますが、忌憚のない意見交換の場を設定したいとも考えております。その折には、積極的なご参加をお待ちしております。

 テレビ会議の機会とは別に、ハイアールアジアご関心のある企業がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。日本のハイアールアジアの研究所のみならず、中国本社の研究所と技術情報を共有しながら、グローバル時代に通用するスピード感のある共同開発等を展開していきたいと思います。

お問い合わせ先 : 実業之富山社/大野 一