【富士フイルムホールディングス】新社長に後藤禎一取締役(富山市出身)の昇格内定

 富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)を傘下に持つ持株会社、富士フイルムホールディングス(HD・本社東京、東証1部)の社長兼CEOに、後藤禎一取締役が昇格する。6月下旬に開催予定の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。

 2000年に社長に就任して以来、20年以上にわたって経営をリードしてきた古森重隆会長兼CEOは退任し最高顧問となり、助野健児社長兼COOは代表取締役会長・取締役会議長に就き、企業ガバナンス面から新社長をバックアップする。

 古森氏は、祖業で主力製品だった写真フィルムの市場がデジタルカメラの普及で世界的縮小という事業危機に直面しながら、フィルムで蓄積した要素技術(有機合成、薄膜形成、光学、解析、画像・ソフト、メカ・エレキ)を医療機器や化粧品に応用していち早く業態転換を成功させた。「取り組んできた多角化などの改革にめどが立ち、人材や新しい事業も育ってきている。後進に託す適切な時期が来た」として経営の第一線から退く。株主総会後には取締役も外れるという。

 新社長に就任する後藤氏は1959年1月富山市生まれ。83年3月関西学院大学社会学部卒業。同年4月に富士写真フイルム(現富士フイルム)入社。ベトナム、シンガポール、中国など海外勤務経験が豊富で、成長事業に位置づける医療機器事業を統括してきた。2018年6月富士フイルムHD取締役・富士フイルム取締役常務執行役員メディカルシステム事業部長兼ヘルスケア事業推進室長を経て、20年6月から富士フイルムHD取締役・富士フイルム取締役専務執行役員メディカルシステム事業部長を務めている。

 同社は4つの重点分野を定めて2023年度までに売上高2兆7,000億円、営業利益2,600億円を達成目標とする中期経営計画を策定、医療関連事業については2020年代半ばまでに売り上げ1兆円の達成を掲げる。会見で後藤氏は「成長と変革にチャレンジしたい」と語った。

 富山市を創業地とする富山化学工業は2006年に富士フイルムグループとなり、18年富士フイルム富山化学(社長岡田淳二氏)となった。抗菌薬はじめ癌治療薬、アビガンなど医薬品開発でその一役を担っている。