【全国自治体・視察件数ランキング】トップは愛知県豊明市の地域包括ケア豊明モデル、富山市のコンパクトシティ政策は24位

 日経BP総合研究所は都道府県および市区町村を対象に行政視察に関する受け入れ実態調査を実施し、その集計結果を「全国自治体・視察件数ランキング2020」として取りまとめた。調査は今年7月~8月にかけて実施、640団体から回答を得た(回答率35.9%)。ランキングは3件以上の行政視察を受け入れた公共サービス・施設・行政施策等を対象に算出している。

 2019年度に自治体職員・議員による視察の受け入れ件数が最も多かったのは、高齢者が外出したくなるまちづくりを目指す愛知県豊明市の「地域包括ケア 豊明モデル」で、2位は2年連続で神奈川県大和市の文化創造拠点「シリウス」だった。調査開始から3年連続トップだった岩手県紫波町の駅前開発事業「オガールプロジェクト」は3位となった。4位に香川県三豊市の「バイオマス資源化センターみとよ」、5位に東京都荒川区の「ゆいの森あらかわ」がランクインしている。

 自治体別に視察の多い事業も公表している。富山県で視察の多い事業と主な視察の目的は次のとおり。

富山県

富山県美術館

20世紀美術の世界的な名画やポスター、椅子などのコレクションや、アートやデザインをはじめ、デザイン振興の視点を取り入れたアトリエやデザイン性の高い遊具を配置した「オノマトペの屋上」等の館内施設の見学のため。

ものづくり研究開発センター

先進地視察、情報収集。

薬事総合研究開発センター

全国でも数少ない薬事専門の公的研究機関であり、医薬品産業が盛んな富山県ならではの施設である。 近年は国交付金等を活用して新たな研究開発施設や研修棟を整備し、医薬品産業の振興や人材育成に向けた地方創生の取り組みを進めている。

富山市

コンパクトシティ政策(活力都市推進課)

富山市は地方都市としては比較的恵まれた鉄軌道と運行頻度の高い幹線バス路線で地域の核となる生活拠点を結び、拠点ごとにコンパクトにまとまっていく全市的なまちづくりを推進している。ロックフェラー財団が選定する「100のレジリエント・シティ」にも選定されており、国際的にも高い評価を得ている。

レガートスクエア(まちなか総合ケアセンター)

中心市街地の小学校跡地を活用し、乳幼児から障害者、高齢者までの行政サービスを一元的・包括的に提供する地域包括ケアの拠点として整備。全国初の市直営産後ケア施設のほか、自治体直営では初のお迎え型の病児保育事業などを実施している。

SDGs未来都市、環境未来都市・環境モデル都市(環境政策課)

富山市は「SDGs未来都市」ならびに「自治体SDGsモデル事業」の両方に選定されており、「コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市の実現」を目指して様々な取り組みを行っている。

舟橋村

子育て共助のまちづくり

人口が増加している数少ない自治体であることや、CSVの手法による解決を目指している点などを参考にするため。

舟橋村立図書館

貸出冊数日本一となる理由を知るため。

 

新型コロナ禍における視察対応状況(2020年7月1日時点)

 このうち富山市のコンパクトシティ政策の視察数は42件で、全国ランキング24位、人口規模別ランキング(30万人以上)では9位となっている。

 調査では、2019年度に視察が多かった事業について、2020年7月1日時点での新型コロナ禍における対応状況を聞いている。「従来通り受け入れている」は11.9%にとどまり、「条件付きで受け入れが38.4%、「受け入れを休止」が30.9%となっている。