最近の県内企業業績:双爽グループ(北陸コカ・コーラボトリング、GRN)
双爽グループ:
北陸三県と長野県を販売エリアとする北陸コカ・コーラボトリングを中核企業として、13社の持ち株会社、GRNで構成する事業グループ。
【北陸コカ・コーラボトリング】コロナウイルスの影響見定まらず、利益は未定 AI活用「アジャイルマーケティング」導入
2019年12月期の販売数量は2,919万ケース、前年比5.5%減った。新ラインに更新した砺波工場の本格稼働が予定より遅れ、冷夏も影響したが、27年ぶりの大型ペットボトル飲料など34品目の単価改善、コカ・コーラ初のエナジードリンク「コカ・コーラエナジー250ml缶」、紅茶花伝「ロイヤルミルクティー440ml」のペットボトルのほか、コカ・コーラシステム初のアルコールブランドとなる缶酎ハイ「檸檬堂」などの新製品がともに好調。自販機のオペレーション支援効果も生み、1ケースあたりの売り上げ単価は目標を上回った。

「ジョージア ラテニスタ」ビターラテ
売り上げは2%減少し476億700万円となったが、砺波工場の新ライン更新による償却負担を吸収して営業利益率は0.3ポイント改善、営業利益3億6,500万円と53%増益、経常利益で18%増益だった。最終利益は物流子会社の移管に伴う抱き合わせ株式評価益1億6,700万円の特別利益計上があり、前年度の赤字から5億1,400万円の黒字転換した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、飲料販売数量の落ち込みを余儀なくされている。「ドラッグストアや地場の食品スーパーを除けば、今年の出足から減少傾向を辿り、外出自粛で客足が減った飲食関係や、駅・空港などの交通施設で大きく落ち込み、4月は前年比30%近いマイナスとなった。また事業所・工場内に設置されている自動販売機の売り上げ不振も響いている」という。

「綾鷹」濃い緑茶
2020年12月期は、通期を通して単価改善が浸透するうえ、100%リサイクルペットボトル「い・ろ・は・す 天然水」、「ジョージア ラテニスタ カフェラテ」「ジョージア ラテニスタ ビターラテ」、旨みのある”濃い”味わいの「綾鷹 濃い緑茶」など高単価商材をいずれも3月に市場投入する一方、生産性改善による効果で売り上げ、営業利益とも前期を上回る見込みとしているが、最終利益は未定とした。
「新型ウイルスによる影響がいつまで続くか分からないが、引き続き科学的な分析に基づく営業・製造・間接部門のコスト削減と変革を加速させていく」(稲垣晴彦会長)。そのためベンディング事業を担うベネフレックスと協働で、AI(人工知能)を活用し高速でPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回す「アジャイルマーケティング」を導入、「エリアの特性に応じたマーケティングができる組織づくりと、新たに財務分析能力の機能強化を図り、収益基盤を強くする」(井辻秀剛社長)計画だ。
【GRN】新たな海外自販機事業で再構築を急ぐ 2020年12月期の収益は流動的
若鶴酒造、情報システムのヒスコム、富山第一ホテルなど多岐にわたる国内事業とアジア地域で自販機事業を展開し、13社を傘下に置く。
2019年12月期は大幅の増収増益だった。グループ売上高は47.0%増え132億300万円、経常利益は2億5,100万円と3倍になり、純利益も前年の70万円から1億4,400万円へ大幅に伸びた。好成績は若鶴酒造のモルトウイスキー、クラフトウイスキーを使ったハイボール缶などが売れ行き好調だったこと、自販機事業で新たにベトナムのホーチミン、ハノイへ進出したことに伴う中古自販機の売り上げが貢献した。
単体では売上高22億6,800万円、経常利益5,200万円を計上。傘下企業からの受け取り配当金が主な収益源だが、連結でみた付加価値総額は46億円規模となり、2019年12月末の総資産138億1,100万円、純資産114億600万円で、自己資本比率は82.6%。
今期の見通しは、ワイン、ウイスキーなどのネット通販は堅調だが、ホテルの休業や食品事業の減収、海外事業の一部撤退も余儀なくされ、流動的だ。昨年1月にグループ組織を再編し、北陸ロジスティクスの物流・事務請負事業の吸収分割により情報システム開発のヒスコムが事業の一部を継承、システム開発と物流事業を一体化した。また空調設備の日本海温調をM&Aで100%子会社化、自動販売機の修理、メンテナンスに加え空調設備事業を強化する。
一方、2005年に進出し地盤を築いてきたマレーシアとシンガポールでの自販機オペレーション事業の再構築に迫られている。共同出資していた現地のパートナー企業が保有株式を売却し、新たに大株主となった投資ファンドがアサヒグループホールディングスに事業譲渡したためで、2005年の進出以来、安定した配当収入の貢献が小さくなかっただけに「出資比率で負けた。不本意な撤退となった」(稲垣晴彦社長)。
GRNの現地法人が管理する自販機はマレーシアとシンガポールに中国、ベトナムを含め昨年度には1万台に乗せる計画だったが、マレーシアとシンガポールがなくなり、現在中国で約3,000台、ベトナムで数百台になった。500人を超えた現地社員も中国の150人になった。
「株式の売却益、配当換算で投資額の4倍相当を回収した」(同)キャピタルゲインをもとに、中国、ベトナムの再構築とともに新たな海外事業計画を急ぐ。