最近の県内企業業績:日本海ガス絆HD、高岡ガス
【日本海ガス絆ホールディングス】ガス・発電事業展開へ‶機″うかがう
2018年1月、都市ガス・LPG事業の日本海ガス(社長土屋誠氏・資本金1億円)を中核企業とし、空調機器販売・建築・設計・貨物運送などの事業子会社を傘下におく純粋持株会社に移行。
2019年12月期(連結)の業績は、工業用を中心に都市ガス販売の好調に加え、ガス機器、空調機器や工事事業が順調に推移し、増収増益だった。増収増益は3年連続。記録的な暖冬の影響で家庭用需要が減少した半面、ガス販売のおよそ6割を占める工業用が製造業の稼働率上昇、天然ガスよる燃料転換、新規の顧客開発が進み、販売量で1億2,197万立方メートルと前年比5.4%増えた。LPガスは家庭用が新規戸数の開発により伸びるも、工業用は微増、商業用、卸売の減少により販売量4万4,479トンと前年比0.7%下回った。
12月末の需要家戸数は、LPガス3万6,073戸で168戸増えたが、都市ガスでは533戸減少し6万1,448戸、合計9万7,521戸となった。
売上高は259億6,800万円で前年比4.3%増収に対し、原料費調整制度による売上単価の上昇も寄与し営業利益は8.0%増の9億8,400万円、経常利益は11.3%増の11億1,800万円となり、最終利益で4.6%増益の7億1,700万円を計上。配当は2円増配し7円とした。
20年12月期は工業用を中心に販売量の増加を見込んでいるものの器具販売や設備工事の減少に加え、原料価格上昇による原価高を予想し、日本海ガスは減収減益を見込んでいる。連結の予想数値目標は売上高258億3,000万円と前年比0.5%の減収、収益は営業利益7億2,800万円、経常利益8億1,300万円、純利益5億2,000万円といずれも3割近くの減益見通しとしている。
ただ足元の業況は、新型コロナウイルスの感染が収束しないなか、同社の供給地域においても製造業を中心とした稼働縮小や公共施設の閉鎖、サービス業などの休業によるガス販売量への影響は避けられないと予想される。
2019年1月にスタートした中期経営計画(2019~2021年)では、連結売上高287億円、連結経常利益10億円以上を目標においている。この方針に沿って事業会社間の連携強化とICT、デジタルインフラの整備・拡充による業務効率の向上、新規事業の立ち上げも視野に入れる。
LPガスでは、LPガス容器の統一化(写真)と設備の共同利用、LPガス充てん・配送業務を集約し、配送業務の効率化を目的に、同社と高岡ガスサービス(高岡市)、丸八(魚津市)の3社共同でLPガス配送管理会社、エネシップ(富山市中大久保)を2019年9月に設立。各社の配送拠点から最も遠い配送エリアは、最も近い会社の配送拠点から配送を行うなど、各社の1台当たりの稼働率を高め、業務の効率化を開始、さらにIoT(モノのインターネット)活用なども推進する。
また、金沢市がガス・発電事業を22年度をめどに民営化する方針を決め、2020年度末までに公募型プロポーザル方式で事業譲渡先を決定するのに対応して、同社は北陸電力、高岡ガスと組み金沢市に事業会社の新設を計画している。2015年の都市ガスの全面自由化後の新しいエネルギーサービスの提供に向けた新事業展開に取り組む。
【高岡ガス】大口の新規需要開拓、工業用比率30%超える
日本海ガスから都市ガスの卸売供給を受け、高岡市の旧市街地中心を供給エリアとする。本支管延長数(2019年12月末)242キロメートル、需要家戸数(同)は1万2,510戸、LPガス事業などの2社を合わせたグループ売り上げ(同)は29億3,300万円。
2019年12月期のガス販売量は926万立方メートル、前年比17.7%増え過去最大を更新した。大型マンション、駅前に竣工した富山銀行本店の新規立地やイオンモールの増床に加え、特に天然ガスへエネルギー転換した新規の大口の需要開拓の奏功が大きい。右肩下がりだった需要家戸数もプラスに転じた。
用途別ガス販売でも、家庭用、公設施設・医療用は減少したが、工業用は2.2倍の伸び、用途別順位も全体の33.4%を占めてこれまでの家庭用と逆転した。また、暑さ対策と教育環境改善のため小中学校の各教室に設置されたエアコンの特需もあり、ガス売上高は前年比11.3%増、総売上高は同比24.3%の増収となった。ただ新規開拓の導管延長に伴う投資負担などが増え、経常利益、純利益はいずれも減益だった。