【YKK】海洋プラスチックごみを主材料にしたファスナー開発/「エアリーストリング」がゴールドセレクション賞受賞

 YKK(本社東京都、社長大谷裕明氏)は、海洋プラスチックごみを主材料としたファスナー「NATULON Ocean Sourced(ナチュロンオーシャン ソースト)」を開発し、2020年中に販売を開始する。

 海洋プラスチックごみは、鳥類やカメ、魚類など海洋生物が誤って飲み込んだり、生態系にも影響を与えたりしていることが問題視されている。海洋プラスチックごみの大部分が陸上由来といわれることから、同社は海への流出を少しでも防ごうと、スリランカの海岸線から50km以内で収集された海洋プラスチックごみを主材料としてアップサイクリングし、「ナチュロンオーシャン ソースト」を開発した。ファスナーとしての強度、耐久性、機能性は従来製品と変わらないという。

 同社は「YKKグループ環境ビジョン2050」に基づき、サステナビリティに配慮した商品開発を積極的に進めており、これまでに植物由来ポリエステル樹脂を主材料としたファスナー「GreenRise(グリーンライズ)」や、オーガニックコットンを使用したファスナー、染色工程で水をほとんど使用しない染色技術「ECO-DYE(エコ・ダイ)」などを開発・発売している。「ナチュロンオーシャン ソースト」は今年1月に開催された「ISPO Munich」(ドイツ・ミュンヘン)、「Outdoor Retailer+Snow Show」(アメリカ・デンバー)に参考出展している。

「エアリーストリング」がゴールドセレクション賞受賞

 YKKが開発したテープのないファスナー「AiryString(エアリーストリング)」が、日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の「デザインミュージアムセレクションVOL.21」においてゴールドセレクション賞を受賞した。

 「エアリーストリング」は2019年7月、YKKとJUKIが専用ミシンとともに共同開発。ファスナーのテープをなくすことで、衣服をより軽く、柔らかい風合いに仕上げることができ、ファスナーと布地との一体感が生まれてすっきりとした印象のデザインになる。ファスナーのエレメントを布地に直接縫い付けるため、従来必要だったステッチ工程が省け、縫製工程も簡略化できる。

 JIDAデザインミュージアムセレクションは社会に寄与する質の高いインダストリアルデザインを選定し、その製品を収集保管して次世代に伝えていくもので、vol.21ではゴールドセレクション賞5点とセレクション賞49点が選ばれている。ファスナーテープをなくした「エアリーストリング」は、あって当たり前と思っていた前提を覆す革新的なデザインであることが評価された。