【ダイト】20年第2四半期業績、過去最高記録を更新 増配し年40円に、高薬理活性製剤で新たな事業領域へ
後発医薬品(GE)の原薬から製剤までを受託、一貫製造できる強みを持つダイトの業績が絶好調だ。2020年5月期第2四半期の連結業績はGE市場の拡大を追い風に売上高、経常利益ともに2ケタ伸びとなり過去最高を記録更新、通期見通しも増収、経常増益を見込み、株主配当を1株40円に2円増配する。
売上高の増収率15.4%に対し、営業利益、経常利益はそれぞれ21.6%、21.4%の大幅増益率だ。原薬部門で血圧降下剤、消炎鎮痛剤が好調だったほか、製剤部門でも自社開発品、新薬や長期収載品の製造受託が伸び、売上総利益(3億6,000万円増)は8.2%増益となった。通期計画に対し四半期の進捗率は売上高で53.5%、営業利益で60.2%、経常利益で60.5%、純利益で60.7%となっている。
2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を 80%とし、できる限り早期に達成という国の目標があり、GEの需要は引き続き拡大していくとされる。ただ最近の使用割合は70%台半ばを超えて80%の目標値に近づいており、業界の伸び率も今後鈍化の傾向は避けられない。
加えて毎年実施されることになった薬価改定で、長期収載品の価格も下がる見通しの中で、AG(オーソライズドジェネリック・先発製剤と同一の原薬、添加物、製法等で製造される)GEに参入するメーカーも増え始めた。
同社は抗がん剤など高薬価で長期の服用が必要とされる高薬理活性製剤(抗がん剤、免疫抑制剤といった少量で高い薬効を示す医薬品)のGEに照準をおいて、新設設備に「2015年から累計90億円を先行投資してきた」(大津賀社長)のも、こうした事業環境の変化にいち早く対応するためだ。

第八製剤棟
14年に抗がん剤を製造する「第七製剤棟」、17年6月に抗がん剤の研究開発と治験薬などを少量生産する「高薬理R&Dセンター」、18年11月には35億円を投じた「第八製剤棟」をそれぞれ完成、さらに第八製剤棟に20億円をかけ第八製剤棟に骨粗鬆症やリウマチ治療薬、免疫療法薬などの製造ラインを年内完成予定で増設、21年2月から設備の稼働適格性の確認、試作稼働を経て22年以降より出荷を開始する予定。受託製造能力を約2倍の1億錠に高め自社製品の製造も行う。完成稼働に入れば既存の第7製剤棟と合わせ、小・中・大スケールの製造設備を備えることになる。
資金手当ては昨年9月に第三者割り当てによる新株予約権発行で約36億円を調達した。切れ目のない投資に伴う減価償却負担も増加し2020年5月期は33億円(発生ベース)の投資に対し、減価償却に30億500万円を引き当てる計画だ。
同社は収益効果を上げるため高薬理活性領域で扱う品目の多様化、受託生産のボリウムの拡大を図っている。一方で安価な製品づくりを得意とする中国などとの競合も出てくることを考えれば、低コスト生産や品質管理・品質保証面の強化体制の構築でも先手が急がれ、「大・中・小生産に即応した技術・製品群に特徴を持つ企業として他社との差別化を追求し新しい事業機会をつくっていきたい」(大津賀社長)考えだ。