【三協立山】大和ハウス工業と植物工場システムを共同開発 建設から栽培・運営サポートまでワンストップサービス
三協立山(本社高岡市、社長山下清胤氏)と大和ハウス工業(本社大阪市、社長芳井敬一氏)はオーダーメイドで工場や倉庫に設置可能な植物工場システム「agri-cube ID(アグリキューブ・アイディー)」を共同開発した。次世代農業の工業化を見据えて事業化にも対応でき、10月1日より大和ハウス工業が全国販売を開始、三協立山は栽培技術・サポートの提供を担う。
植物工場は、天候や季節に左右されない新たな農業形態として注目されており、近年の異常気象や農業従事者の高齢化、後継者不足の課題解決の糸口としても期待されている。三協立山は2011年から植物工場の研究に着手し、13年には野菜の生産販売実証を目的とした植物工場を建設。独自の促成栽培技術や設備設計の研究に取り組み、18年6月には新組織「アグリ・エンジニアリング部」を創設し、製品と技術提供の体制整備とサプライチェーンの構築を図ってきた。
大和ハウス工業は12年、独自開発した小型の植物工場ユニット「agri-cubeE」「agri-cubeS」を発売。事業化に向けた大規模植物工場のニーズを受け、17年4月から大量生産できる大規模植物工場をテーマに三協立山との共同開発をスタートさせた。両社は18年4月、販売に関する業務提携契約を結び、このほど販売にこぎつけた。
「agri-cube ID」は断熱パネルと栽培棚、栽培プール、栽培用LED照明、空調設備、送風システム、溶液管理システムなどで構成するもので、リーフレタスやバジル、ホウレンソウなど多様な品種の葉物野菜類の栽培が可能。

三協立山が独自開発した送風システム(特許出願中)
均一量の風がすべての野菜にあたるよう設計されている。
野菜の成長に欠かせない風と光が均一量当たるよう、三協立山が独自開発した送風システムと養液管理システム、エアコンなどの設備機器を組み合わせて最適な環境を整え、栽培棚ごとの生育のムラも抑えた。フリルレタスであれば最短32日間で収穫ができるなど、高歩留、高収量、高回転を実現した。
植物工場は規模の大小を問わず対応するほか、将来の事業規模拡大を見据えた工場のトータルプランニングも提案するなど、要望に応える。三協立山の過去6年にわたる植物工場運用の経験に基づいた知識と技術を提供するサービス「栽培サポートプログラム」も実施しており、工場管理者を対象とした事前指導、植物工場竣工後の現場教育、運用開始後3カ月、6カ月、1年、2年経過時の定期サポートプログラムを通し、全面的にバックアップする。
本体設備価格は基本モデル約1,300平方メートルの場合、1平方メートルあたり30万円(税別)から。