富山県の設備投資動向:2018年度実績は減少に転じるも2019年度計画は36%増に

 日本政策投資銀行北陸支店富山事務所は、6月24日を期日として実施した設備投資動向調査の結果を公表した。資本金1億円以上の民間企業(金融保険業等を除く)を対象に、2018年度実績、2019年度計画、2020年度計画についてアンケート調査したもので、調査対象企業9,849社のうち5,925社が回答した(回答率60.2%)。

 県別設備投資動向のうち富山県分は下表のとおり。

2018年度実績:製造業は5年ぶりの減少

 富山県の2018年度実績は、全産業(除く電力)で前年度比31.9%減と減少に転じた。製造業は42.8%減と5年ぶりの減少に転じた一方、非製造業(除く電力)は33.4%増と3年ぶりの増加に転じた。

 製造業を業種別にみると、生産効率化ニーズを受けた自動化機械製品の工場投資があった一般機械(11.2%増)などが増加したが、スマートフォン向け高機能電子部品工場投資が一 段落した電気機械は69.0%減、医薬品やその他の化学品での大型投資が一巡した化学が49.0%減、主力製品の能力増強投資が終わった食品が74.5%減、紙・パルプが45.8%減となった。

 非製造業を業種別にみると、施設の新設がみられたサービスで120.4%増、大規模な交通拠点の整備があった運輸が20.1%増となった。

2019年度計画:輸送用機械、食品などで大幅増

 2019年度計画は全産業(除く電力)で前年度比35.9%増と増加に転じる。製造業は34.0%増と増加に転じ、非製造業(除く電力)は40.8%増と2年連続の増加となる。

 製造業を業種別にみると、能力増強や研究開発投資が一段落する電気機械(14.5%減)等が減少するものの、自動車部品の能力増強投資がみられる輸送用機械が769.7%増、新製品・製品高度化投資が行われる食品も615.9%増と大幅に増加する。生産効率化ニーズを受けた自動化機械製品の工場投資が続く一般機械(29.5%増)、工場建替や省力化投資があるその他製造業 (23.4%増)、能力増強投資がある金属製品(89.7%増)なども増加する。

 非製造業を業種別にみると、商業施設の大型増床がみられる不動産は499.3%増、スーパーの新店投資がある卸売・小売が100.0%増、放送サービス高度化に伴う投資が行われる通信・情報が50.6%増、建設が128.0%増などと増加する。

 富山県の2020年度計画は全産業(除く電力)で前年度比9.0%減と減少に転じる。製造業は8.4%増となるものの、非製造業(除く電力)は41.4%減と減少に転じる見込み。

北陸地域:2019年度計画は2年連続の増加

 北陸地域(富山県、石川県、福井県)の2018年度実績は、全産業(除く電力)で前年度比10.6%増と3年ぶりの増加。製造業は3.8%増、非製造業(除く電力)は44.8%増と、いずれも3年ぶりの増加となった。

 2019年度計画は全産業(除く電力)で前年度比10.2%増と2年連続の増加となる。製造業は11.1%増、非製造業(除く電力)は6.9%増と、いずれも2年連続の増加となる。

全国:2020年度計画は全ての地域で減少

 全国の2019 年度計画をみると、全産業(除く電力)で8年連続の増加(11.4%増)となる。北陸を含む全国10地域すべてが増加となり、製造業も北陸を含む全国10地域すべてが増加となる。非製造業(除く電力)は北陸を含む8地域が増加となる。

 全国の設備投資を牽引するのは首都圏、北陸、東海などの寄与度が高い。中でも北陸は2019/2018年度の地域別増減率が全産業(含む電力)で29.2%、非製造業(含む電力)で44.9%と全国でも突出した伸び率となっている。

 2020年度の地域別設備投資計画は全ての地域で減少し、全国計では7.0%減との計画にな っている。ただ、当年度計画に比べると回答企業が少なく、現時点では未確定な部分が多い。

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