【中越レース工業】刺しゅうレース振るわず、ニットの好調が支える 新商品の寄与見込み、今期は営業黒字転換へ

 80年近い歴史を持つ、女性用インナーウェアが主力の刺しゅうレース(エンブロイダリーレース)の老舗。染色・整理加工設備も備え、子会社でニット事業も兼営。実用衣料としてのインナーウェアの需要は根強いものの、低価格化が進みネット販売など販売チャネルの多様化などから受注単価の値下げ要求厳しく、業績低迷を余儀なくされている。生産体制の再編で減量経営を進めながら、既存設備と刺しゅう技術を活用した開発商品を衣料品以外の新分野で開拓中。

 2018年12月期の売上高は対前期比2.3%下回り、2期連続で10億円を割り込み、営業、経常利益ともに赤字となった。売り上げの内訳は、アウターレース(4,000万円)が通販向けの婦人用フォーマルウェア、ベビー用レース製品の受注を伸ばし33.3%増収となったものの、インナーレース(4億5,800万円)で受注価格の値下げ、材料・加工費、電気料金の値上げが響き21%の減収となり、利益率も大きく落ちた。 

レース機

 大型高級車のモデルチェンジに伴い、シートのハーフカバーの売り上げは倍増した。また、ニット製品もエンジンブロックで使われる自動車用部材の受注が堅調だったため、32%の増収。ただ、全体の売り上げは引き続き減収となったが、インナー向けの低採算商品の受注を見直し、採算の良い通販向け商品の受注を増やすことで設備操業率が向上し、さらにニット事業の収益改善があり、営業損失幅は縮小した。

 主力の刺しゅう製品は流行に合ったデザイン開発を図るため、海外展示会に参加、海外デザインの導入にも取り組む方針だ。また既存設備と刺しゅう技術の活用を衣料品以外の分野に広げている。一つは和紙を素材にした新しい刺しゅう製品や雑貨製品が好評なことから本格的な受注活動を展開中だ。

 今後はインテリア向け小物商品への展開も検討する。ウイッグネット(かつら専用の下地ネット)の新規受注も見込めるほか、ニット事業では現在扱っている包帯だけでなく、「新しいメディカル製品の開発に共同開発の方策も探りたい」(山崎社長)としている。

 2019年12月期はインナーウェアを中心とした不採算商品の受注見直し、「量より受注内容の質に重きを置く」ことで、売り上げは前期並みだが営業収支の黒字転換を見込んでいる。開発段階から販売に移る新商品の寄与が期待できること、設備稼働率が向上し粗利益率はさらに向上するなど、粗利益率の大幅改善により1,100万円の営業利益を計画している。

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