【双爽グループ:北陸コカ・コーラボトリング&GRN】砺波工場に最新の生産ライン導入 自販機の需要予測に音声入力と画像認識も

 2015年9月に、清涼飲料事業の北陸コカ・コーラボトリングと、酒類の製造・卸やIT関連、海外事業などを手掛ける14社(シンガポールの持株会社1社を含む)の持株会社GRN(本社高岡市、社長稲垣晴彦氏、資本金1,000万円)に再編し、双爽グループとして発足。北陸コカ・コーラボトリング(高岡市、社長井辻秀剛氏、資本金7億3,284万円)はその中核であり、北陸三県と長野県を販売エリアとする。

 2018年12月期は3期連続の減収減益となった。2019年12月期も製造ライン更新による投資負担が加わり最終利益の計上まで定まらないものの、新ラインの本格稼働や自販機の情報化による生産性の向上を進め、収益基盤の改善・強化につなげる。

 2018年12月期の売り上げ(485億6,985万円)は対前期比1.3%の減収、経常利益(3億3,564万円)同30.7%の減益、1億6,788万円の最終損失だった。

 新製品の紅茶「クラフティ―」、ペットボトルコーヒー「ジャパンクラフトマン」や、夏場の猛暑で「アクエリアス」「綾鷹」が好調だった半面、コカ・コーラボトラーズジャパン(2018年1月に東西・四国のボトラーが合併)の新発足により,これまで製品供給してきた天然水が内製化され出荷が減少、1、2月の豪雪による物流機能の停止、他ボトラーからの製品供給も夏場の猛暑で制限される影響を受けた。このため物流費などの値上りや操業経費の上昇を補えず、営業利益は対前期比5分の1(2億3,800万円)に減少、加えて砺波工場4号ラインの更新に伴う除却損4億4,600万円を特損として充て、最終赤字となった。

 2019年12月期は砺波工場4号ラインの稼働に伴うボトラー向け製品供給の増加、自販機の最適配置などにより増収に転じる。4月1日の出荷分から大型ペットボトル飲料など34品目の希望小売価格を一律20円値上げした分は織り込んでおらず、価格改定浸透の進捗状況によって売り上げ計画は振れるほか、新ラインの償却負担があり利益は未定としている。

①ブロー成形機

②無菌充填機

③毎分600本の製造能力をもつ新ライン

 4号ラインは5号マシンを更新して今年2月から稼働した。総工費60億円で8年ぶりの大型投資だ。280mlから2lまでペットボトルの全サイズに対応でき、成形から無菌充填、箱詰めまで毎分600本、年間600万ケース(1ケース24本)の生産能力を持つ。

 特に従来の殺菌工程はコーヒーとミルクを混合してから行っていたが、新ラインではコーヒーとミルク双方の風味を損なわないそれぞれの最適温度で高圧抽出し殺菌処理する方法を採用した、全国ボトラーの中で最新の一貫生産ライン。コカ・コーラボトラーズジャパン、北海道コカ・コーラへも製品供給するため、現在「ジョージア ジャパン クラフトマン カフェラテ」「ジョージア ジャパン クラフトマン ブラック」をフル生産中。

 生産体制の強化とともに収益基盤の拡充にも取り組む。17あったサプライヤーは現在5社(沖縄を含む)に統合され、本州では北陸3県と長野県をエリアに持つ北陸コカ・コーラとコカ・コーラボトラーズジャパンの2社となった。「当社の事業エリアのシェアは30%強を維持しており、全国ボトラーの平均20%に比べても高い。他の大手飲料メーカーとも競争する中で、この水準を落とさずに成長するためにはより地域に密着した市場戦略が求められる。その一つとして今春から健康をキーワードにウェルネス自販機の展開も始めた」(井辻社長)。

 そのため砺波工場の生産効率最大化と内製化率の向上、自販機ビジネスの強化を柱とした構造改革を掲げる。特に自販機事業では、在庫を最適にコントロールするオンライン管理を2003年にいち早く導入し現在3万台を直接運用しているが、昨年さらにAI(人工知能)による需給予測、販売から決済までのデータをリアルタイムで、より効果的に監視・分析・統合するフルサービス支援システムを開発、今年は音声入力と量販店に対応した画像認識の開発を進める。清涼飲料メーカーにとって自販機は手売りチャネルとの価格面でのハンデを克服し、収益源のひとつとして重要な位置づけにあり、こうした実績を重ねることにより「管理部門を中心にこれまで20%の生産性向上を実現できた。今年はさらに20%の向上を目指す」(稲垣会長)計画だ。

【GRN】バラエティに富む14社を傘下に置く 自販機の海外展開を加速、今年度1万台乗せへ

 GRNが傘下に置く事業会社は現在14社(シンガポールの持株会社1社を含む)あり、酒造会社(若鶴酒造)から、酒類・食品の輸入販売、ホテル(富山第一ホテル)、自販機、産業廃棄物収集・処理(北陸リサイクルセンター)、情報システム開発・設計(ヒスコム)など多種多様な業種の企業集団だ。社員数は国内400人、海外では自販機事業の拡大により500人と、国内を上回る。

 2018年12月末の総資産は130億6,200万円。純資産は113億1,900万円で、自己資本比率86.6%。グループ売り上げは同12月期で89億8,300万円だった。

 GRNが現在もっとも力を注ぐのは,酒造業およびワイン・ウイスキーの卸売り、海外での自販機事業だ。14年前に中国・北京およびシンガポールで自販機オペレーション事業を日本企業で初めて、コカ・コーラボトラーの中で唯一、自販機ビジネスで海外進出して以来、アジアにおける自販機の設置台数は現在9,000台を超える。

 東南アジアでもマレーシア、シンガポールで自販機オペレーション事業を展開しており、昨年2月にベトナムにサクラベンディングサービスを、4月にGRNベトナム(ホーチミン市)を設立して自販機オペレーション事業を開始、今年度には自販機の設置台数は1万台に乗せる見通し。

 自販機事業の拡大に伴い、欠かせないのが国内を主なエリアとして、中国、マレーシアに持つ自販機・関連機器の整備・修繕工場体制の強化である。最適生産と生産効率を高めるためシミュレーションによるバーチャルファクトリー(生産活動をコンピュータで事前に試行、評価する)の活用を導入、ブランド展開の仕組み構築を進めており、自販機事業の拡大とともにこうした周辺業務の充実を図ることでグループ全体の規模拡大につなげる計画だ。

 さらに、ベンディングビジネスの将来に向けた自販機の情報化にも取り組んでいる。国内では情報システムの設計開発するヒスコムの役割は大きく、AI化の開発にも着手、特に中国などで普及の進む電子マネー決済に対応した自販機の開発を急ぐ。

 一方、国内事業では全世界からウイスキー、ワインを直輸入し、全国の酒類問屋、小売酒販売店向け卸専業のリラックス(横浜市)とその子会社ウイック(同)を昨年6月、グループ傘下に加えた。酒類商品調達ネットワークとそのユニークな販売方法で成長してきたリラックスを傘下に置くことで、GRNグループが持つワインの輸入販売と日本酒、クラフトウイスキーの製造販売を行なう若鶴酒造などとのシナジー効果を狙う。

 並行して食品事業を強化。ウイスキーに添える食材「おつまみ」を「HARRY CRANES」(ハリークレインズ)ブランドとして立ち上げた。クラッカー、ジャーキーなどのオリジナル商品10種類に、地元産の食材を用いこだわりを持つ地元メーカーと共に商品開発を行っている。昨年から直営店、ネット販売を始め、中元・歳暮シーズンには地元百貨店でも取り扱われている。将来的には首都圏のデパートでも扱える主力商品を育てたい、という。

 こうした事業展開を図ることにより、2019年12月期は卸専業のリラックスの売り上げがフルに寄与するなどでグループ売り上げ130億円、前期比40%強の大幅増収を計画しており、増収増益を見込んでいる。

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