東京圏との所得格差鮮明 地方中核都市のダム機能も期待できず

 JA共済総合研究所が2018年の国内人口移動についてまとめたレポートによると、もともと東京圏への流入は近年拡大傾向にあったが、2018年は一段とその動きが強まった。こうした都市部への人口集中の背景には都市部の良好な雇用・ 所得環境があると分析している。

 レポートでは、有効求人倍率と賃金上昇率の格差に加え、財政支出格差をあらわす変数を用いて3大都市圏の転入超過数の変動要因分解を行っている。それによると、17・18年については賃金格差要因が都市部への人口流入に大きく寄与していることが確認できたとしている。

3大都市圏の転入超過数変化の要因分解(JA共済総合研究所「経済・金融フラッシュ」より=以下同)

 18年に転入超過となっている市町村数は230(3大都市圏を除く)で、16年から2年連続で減少している。これは、政府の地方創生関連予算などを裏付けとして各自治体が取り組んでいる人材誘致策の効果のピークが16年であった可能性を示唆しているという。

 転入超過の市町村数の割合は18.3%(3大都市圏を除く)にとどまる。都道府県別にみると、3大都市圏以外では沖縄県の58.5%がトップで、福岡県・佐賀県も35.0%と高い。富山県は4市町村で26.7%だった。

 3大都市圏以外の市町村のうち転入超過率が上位50の市町村について年齢階層ごとの転入超過率をみると、20歳代後半から30歳代前半、及び10歳未満の年齢層の転入超過率が高い。住民誘致にあたっては、こうした層の取り込みが重要であることを示している。

市町村の転入超過率等の推移

 「地方創生」によって市町村の人口移動に変化が生じたか否かについても検証している。市町村ごとに転入超過率を計算し、単純平均値、中央値、及び転入超過市町村数の時系列推移をみると、各指標とも2016年にいったん上昇・増加したものの、2018年にかけて再び低下・減少している。転入超過率の水準ごとの市町村数の分布をみても、都市部以外の市町村の人口移動において過去5年間で大きな変化が生じているとはいいがたい。

 政府が掲げる2020年までの東京一極集中是正という目標の達成は現状では絶望的だという。東京圏への人口流出元の大半が地方の中核都市であるという現状を踏まえ、昨年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生綜合戦略」では、「地方への新しいひとの流れの強化」として82の中枢中核都市に対して活性化支援などを盛り込んだ。

主要都市の所得指標の推移

 しかし、東京圏と主要都市の所得水準を比較すると、無視できない格差がある。主要都市から東京圏への人口移動も、主として両者間の所得格差が背景にあるとみられ、政府が主要都市に期待している人口の「ダム機能」が実際に機能するかどうかは疑わしい。東京一極集中の背景には所得格差など一定の経済合理性があるとすれば、人為的な政策誘導によってこの流れを逆転させるのは容易ではないとしている。

 

 

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