【立山製紙】リール、ペーパーチューブなどの紙管好調 今期は売り上げ横ばいでも増益を維持

ペーパーチューブ

 独立系の黄板紙、チップボール、紙管原紙および紙管までを一貫生産する創業100年の老舗メーカー。本社工場(立山町、社長増田基由氏)で生産する板紙は古紙を原料に、書籍の芯材や紙器に使われるほか、関東圏に4つの製造拠点をもつ子会社・立山紙工で、フィルム・粘着テープなどの巻芯、連続端子やワイヤーの巻取りに用いられる紙管に加工される。

 板紙販売量は年間31,600㌧(2018年11月期)、うち49%が紙管原紙向けで、板紙が原料古紙や重油・電力などエネルギーコストに影響されやすい半面、紙管は板紙原紙を自社調達できるメリットを生かして付加価値加工製品にできる強みがあり、同社の大きな収益基盤だ。

 2018年11月期は、昨年に引き続き古紙価格の急騰と高止まり、重油や薬品価格、物流費の上昇で本社板紙部門の採算低迷が続く一方、紙管製品の需要が自動車、粘着テープ、フィルム関連向けに堅調に推移し、製品価格値上げ効果も加わり増収増益となった。中でもコネクター用リール、スマートフォン用フィルム紙管の好調や、大手液晶ディスプレイ用ガラスメーカーと新規に取引を開始したことも業績に貢献した。

 新規に納品した製品は、ガラス繊維の巻取りに使われる大口径の巻き芯ペーパーチューブ。耐水性、耐熱性を併せ持つ紙管で、独自の形状により現場での作業効率の改善にも役立つ柔軟性が特徴。「電子製品を扱う分野だけに厳しい品質が求められるが、中国からの引き合いもあり新規の需要開拓に期待できる」(増田社長)という。

 また従来は樹脂素材が多かったリールも、環境への配慮からリサイクルしやすい紙製品の普及が進んでいる。反りのないリールの開発により需要先を増やしており好調、「収益源として欠かせない製品」(同)だ。

 2019年11月期は本社板紙の需要低迷から脱せず苦戦が続きそう。そのため売り上げ全体では横ばいとしているが、リールやペーパーチューブなどの販売増が見込めるほか、引き続き価格改定の浸透を図ることで経常利益、純利益ともに2期連続で対前期を上回るとみている。

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