新年度予算に盛り込まれる中小企業施策 ①事業承継に対する支援メニュー

 中小企業庁の2019年度予算では、「経営者の高齢化」「人手不足」「人口減による弱い内需と過疎化」という中小企業をとりまく3つの大きな構造変化に対応するため、さまざまな支援メニューを盛り込んでいる。

 「経営者の高齢化」に対しては ①事業承継・再編・統合等による新陳代謝の促進、「人手不足」に対しては ②すそ野の広い生産性の底上げ、「人口減少による弱い内需と過疎」に対しては ③地域の稼ぐ力の強化、海外需要の獲得を重点施策にかかげ、税制改正や各種の補助金、特例措置などで支援する。

 今回の予算に盛り込まれた重点支援メニューについて、中小企業庁経営支援部技術・経営革新課長の師田晃彦氏からの資料提供を受け、3回に分けてポイントを紹介する。

重点施策① 事業承継・再編・統合等による新陳代謝の促進

1.事業承継税制の拡充

 平成30年度の税制改正では法人の事業承継税制を抜本的に拡充し、法人の親族内承継を強力に支援している。対象は、平成30年4月1日から平成35年3月31日までに特例承継計画を提出し、平成30年1月1日から平成39年12月31日までに実際に承継を行う者で、贈与税・相続税がゼロ、納税猶予割合が100%となる。

 これにより事業承継の機運が高まり、事業承継税制の申請件数が年間400件→年間4,000件へと10倍に迫る勢いという。経営者からは「相続税・贈与税の負担がなくなり、助かる」「後継者候補が、事業承継を決断した」、税理士等からは「大変使いやすくなった。積極的に勧めたい」「相続対策は数多くあるが、事業承継一択にしてほしい」との反響があった。

事業承継税制の成果の事例(資料提供:師田晃彦氏 以下同)

2.個人版事業承継税制の創設

 法人の事業承継税制に加え、平成31年度税制改正では、個人事業者の事業承継を促すため、事業に用いる資産の承継を円滑化するための措置を講じる。これにより中小企業の事業承継を後押しする税制措置が完成する。

 個人事業者についても、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」を創設する。

事業承継税制の改正概要

 なお、この制度を活用するためには、①経営承継円滑化法に基づく認定、②平成31年度から5年以内に予め承継計画を提出することが必要で、既存の事業用小規模宅地特例との選択制となる。

3.事業承継補助金

 事業承継、M&Aをきっかけとして、新しいチャレンジを行う事業者に、その取組にかかる経費を最大1,200万円まで補助する。

事業継承補助金のタイプ

4.中小企業のM&Aに関する全国大のデータベースの構築

 第三者への事業承継では事業者同士のマッチングが重要であり、これまで地銀等の一部民間事業者でサービスを展開しているが、地域内のマッチングに限定されている。

 このため、中小機構の事業引継ぎデータベースを来年度から抜本的に拡充し、①金融機関、税理士、M&A仲介業者等の民間事業者や、②事業者情報を持つ政府系機関(日本政策金融公庫、ジェトロ等)も参画する全国大の良質なデータベースを構築し、民間のマッチング事業者との共有データベースの構築についても併せて検討していく。

事業引き継ぎ支援データベース

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