【三協立山】2019年5月期通期は利益上積みの可能性も フェンスの需要旺盛、国際事業も伸長見込み

 三協立山(本社高岡市、社長山下清胤氏、東京1部)は、住宅・ビル用建材、マテリアル、商業施設の4事業を柱に、欧州・中国・タイ・フィリピンなどで海外展開しシナジー効果を追求。2021年5月期までを期間にした新中期経営計画で、売上高3,550億円、営業利益80億円、同利益率で2.2%、ROE(自己資本利益率)1.8%を掲げる。マテリアル事業など付加価値部門を中心とした非建材部門の拡大を急ぐ。

 2019年5月期上期(18年6~11月)は前年同期比で増収減益だった。売り上げは4事業すべてで前年同期を上回ったが、アルミ地金価格や物流費、副資材などのコスト上昇に加え、タイ・メタル・アルミニウムの買収時に締結していた株式売買契約に基づく条件付取得対価の支払いが確定し、新たにのれんの償却額4億9,200万円が発生したことなども減益要因となった。上期末の未償却残高は8億8,800万円。

 下期(18年12~19年5月)の見通しは明るい。17年上期で8億5,800万円の営業赤字だった建材事業が上期で6億6,400万円の黒字に転換したことは大きく、なかでも同社が強みとするエクステリア商品が好調に推移しており、こうした増収による粗利益の改善がさらに進む。

 また営業赤字の続く国際事業でも新規受注開拓などでプラス効果が見込める。19年5月期の業績は期初計画を据え置き、営業利益58%増益、経常利益は30%増の20億円を計上する見通し。高止まりしているアルミ原料価格や物流費の値上げ負担に対応して、3月からエクステリア商品の価格改定を実施、進捗次第では利益上積みの可能性もありそうだ。

エクステリア専用の福野工場にライン増設

 エクステリア事業の中でフェンスの需要が好調。昨年6月の大阪府北部地震や年末にかけた台風の影響で、ブロック塀から耐久性のあるアルミ製フェンスに代替えする動きが学校などの公共施設をはじめ一般住宅でもこれまで以上に広がっている。「足元ではフェンスで20%、カーポートで10%、テラス・サンルームで5%のペースで増えているが、この先も大きく崩れることはないだろう」(中野敬司三協立山専務・三協アルミ社長)とみる。

 そのためエクステリア専用工場の福野工場にフェンスの生産ライン1系列を増設した。もともと同社はカーポート、門扉を含むエクステリア分野に強く、増産体制を敷いたことにより商品バリエーションの拡充に力を注ぐ。

 住宅建材では、室内・外の二重窓の内部に外気を循環させて高い断熱性能を実現する「ダイナミックインシュレーションを用いた窓システム」(基本特許取得済)を開発し、環境省の2018年度地球温暖化防止活動大臣表彰を受賞。

ダイナミックインシュレーションを用いた窓システム

同システムは、冬は室内から外へ逃げる熱を回収し、夏は循環の流れを逆にして屋外から入り込む熱を排出する仕組みで、冬場は窓回りの結露を防ぎ、夏場は日射熱の侵入を防ぐ効果がある超高断熱性能の窓。換気空気を流した状態での窓の断熱性能は、従来の断熱サッシとの比較で最大10倍となる0.2を達成できるという。

三協立山 福野工場

 アルミニウムおよびマグネシウムの鋳造・押出・加工を軸にするマテリアル事業は、微細な金属組織を均一に形成する世界初の連続鋳造の独自製法をもち、部品の複雑形状化を可能とするマグネ合金を事業化、カメラレンズの鏡筒部品など精密部品や産業用ロボットの構造材、ホイール用のビレットなどの商品化を手掛ける一方、2014年にアレリス社(米国)からアルミニウム押出事業を譲り受け、同社の持つドイツ、ベルギー、中国の5つの生産拠点を活用して航空機、鉄道、自動車分野の受注拡大と新規顧客の獲得を展開中。

独VW向け初の受注、EV用部品を完成品で納品

 この2月には独子会社「STEP‐G」(バーデン・ヴュルテンベルク州)を通じて、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループから電気自動車(EV)向け部品約10万トン分を受注した。大量のバッテリーを車台に固定するアルミ製のバッテリーフレーム用部品で、VWが2018年に発表した次世代電気自動車(EV)向けに使用され押出から加工、表面処理まで行う。

 VWグループへの納入は初めてで、納入は2020年以降の予定という。「EV車の開発に積極的な欧州、中国で加工分野を重点に受注活動を図っており、20年から21年にかけて業績に反映できる見通し」(岡本誠常務・マテリアル事業、国際事業管掌)を示している。

 技術開発でも、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と世界で初めて、鍛造に直接供給できるマグネシウム小径ビレット(φ55~100mm)の連続鋳造技術を開発、また、革新的Mg材料の開発プロジェクトに参加し、現行の新幹線の車両構体と同一断面サイズのオールマグネシウム合金製高速鉄道車両部分構体の試作にも成功。次世代高速鉄道車両だけでなく、航空宇宙、自動車、家電、ロボットを含むあらゆる機械産業分野で軽量化できる分野への本格運用に向けた用途開発に取り組んでいる。

 ただ、国際事業としての事業収益は欧州での鉄道車両用・自動車用のアルミ材料で中国企業との価格競争が激しく、タイでも建材需要の伸び悩みから当初計画未達に止まっている。売上高は2018年5月期で465億6,000万円、売り上げ全体の14.2%だが15億3,500万円のセグメント損失にある。「タイ、フィリピンをはじめアセアン、欧州とのグローバルシナジーを広げ、日本型管理手法によるコストダウンなど生産性の改善に力を入れることで20年5月期に収支トントン、21年5月期で利益計上を実現したい」(山下清胤社長)としている。

個店別の店舗提案を強化

 一方、コンビニエンスストアやスーパーなどで使われる商品陳列棚やカウンター、サイン・看板、メンテナンスを手掛ける商業施設事業(タテヤマアドバンス)は、商業施設の売場面積の拡大を背景にここ5年間(通期)で、平均6%台で売り上げを伸ばし、業績は底堅い。半面、セグメント利益の伸びは横ばいが続く。昨年1月、コクヨの陳列棚など店舗用器具を扱うストア事業を承継し商圏の拡大を目指すが、2019年上期は事業引き継ぎに伴う先行費用や人件費、物流費の増加で、営業利益は前年同期比40%の減益だった。

 少子高齢化、Eコマース事業の普及、飽和状態といわれるコンビニエンスストアなど商業施設を取り巻く環境の変化は激しい。「これからは個店間の競争がより激しくなるだろう。受注開拓に当たって小型物件はもちろん省人化、省力化、省エネなどを含め個店別の店舗提案を強化していく」(池田一仁タテヤマアドバンス社長)ことで、業容の拡大を図っていく方針だ。

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