【三光合成】生産のグローバルネットワーク拡充へ40億投資 稼ぎ頭の英国工場、離脱に備え対策準備も

稼ぎ頭の英国工場、EU離脱の影響は

 一方、英国でもローバーや日系向け自動車部品生産能力を増強する。同社の海外事業の中で最も早く1987年10月に進出した同社の業績は好調で、2018年5月期は売上高76億600万円、経常利益6億7,500万円、利益5億4,600万円を上げ、3年間で売り上げ16.3%の伸びに対して、経常利益45.5%、利益61.1%の増益伸びを辿っている。三光合成の売り上げ全体(2018年5月期)の13.0%、経常利益(同)の25.7%を占める稼ぎ頭だ。

イギリスの子会社SANKO GOSEI UK LTD.

 ただ、英国のEUからの離脱交渉が進む中、「英国子会社が支店を置くハンガリーに生産拠点を移すことも選択肢のひとつ」(同社長)として検討しているようだ。英国工場の受注先がジャガー・ランドローバーを傘下に持つインドのタタ・モーターズであることも今後の新規受注につながる効果が期待できる。「タタからはすでに引き合いがあり、生産の事前監査を受ける準備を整えている」という。

 また、フィリピンでもインスタント写真カメラをはじめ複写機部品などの受注増加に対応して生産能力を3割増やす。こうした工場増強により2年後に約30億円の増収を見込んでいる。

 こうした工場ネットワークの広がりと金型需要の回復、工場立ち上げの寄与により、2019年5月期は売上高600億円、前期比2.8%の増収、営業利益で1.9%増益を確保する半面、経常利益、税引利益ともにそれぞれ4.7%、8.0%の減益を見込んでいる。配当は普通配当12円に、昨年8月の東証1部上場記念2円を増配し、年14円とする。

 2019年5月期を初年度とし最終年度22年5月期までの4カ年の中期計画では売上高800億円、営業利益率8%を目標に掲げている。

金型設計・解析・AI技術を育成

 自動車業界は利便性や快適性を追求する次世代技術の開発に世界規模でしのぎを削っている。自動車の新時代に応える成形加工メーカーにとって金型技術は要だ。これまで南砺市のテクニカルセンターを成形や金型などのマザー工場として国内外の車両部品設計ニーズに対応してきたが、設計事業を強化するため設計者を現在の60人体制からインドや東南 アジア、中国、日本などでさらに100人増やすほか、東京に分室を設け設計業務の分業体制をつくる。現在年間70人がテクニカルセンターで生産性の向上と管理体制を研修中で、研修後それぞれの国の工場でその成果を生かす。

 複雑化する成形品への対応、生産効率の改善も課題として取り上げている。コンピューター上に疑似的に再現した製品の設計問題を評価(シミュレーション)するCAE解析でも実績を重ねており、蓄積した多くの解析事例と樹脂データの収集により金型試作の回数や時間を削減。コストの低減や納期短縮に金型製作の一部に3Dプリンターを活用した製作の効率化にもいち早く取り組んできた。

 レーザーによる金属光造形とマシニングセンタによる高速・高精度切削の複合加工機で、体積18万立方センチメートルの工作物にまで対応でき、自動車のバンパーやインパネなど大型金型の製造時間の大幅な短縮と、冷却性能が高く成形不良の少ない金型の量産化につなげている。「金属3Dプリンターを用いたプラスチック射出成形金型の高生産性製造技術の開発」は、第6回目となる今年の富山県ものづくり大賞 『優秀賞』を受賞。

 あらゆる金型形状に適用できる、成形時に発生するガス抜き入子も自社開発し外販もしているが、「課題は使用される粉末金属材料の価格。海外メーカーに依存している現状で、海外品に替わる国内メーカーの材料が出れば、金属3Dプリンターの汎用性は高まる」(黒田社長)ことが期待されている。

 「人工知能(AI)やビッグデータ解析の実用化がものづくりの分野でも進んでいく」と黒田社長。この春、出荷前の成形部品の外観検査にカメラとAIを組み合わせて画像を解析するシステムをテスト導入、ソフトウエアの自社開発を目指すとともに、これを足掛かりに生産設備の異常を知らせる予知機能の開発にもつなげたいとしている。

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