米中関係と東アジア 「新しい冷戦」の行方は?

東アジアの平和と安定は維持できるか?

 そういう中で東アジアはどうなるのか。中国がなぜこんなに発展できたかというと、中国人が一生懸命働いたということもあるが、最大の構造的要因は東アジアが平和だったことだ。この辺りで中国が関与した戦争は1979年の中越戦争を最後に、その後はない。果たしてこの平和は維持できるのか、これが今後の東アジアにとって重要な課題である。

 短期的にこの辺りを脅かしそうにみえるのは朝鮮半島だ。ここで戦争が始まったら世界の生産ネットワークは大きな打撃を受ける。それは東日本大震災のときのバリューチェーンの混乱ではすまない。

 そういう中で中国の軍事増強が進み、米中間で経済・産業の覇権をめぐる対立が起きている。この新しい冷戦は冷戦でいてもらわないと困る。本当の戦争になるのを防ぐにはどうしたらいいか考えないといけない。

 2018年秋から日本と中国との関係は好転している。日本にとって、中国が自由を封殺して軍事力を伸ばすのは望ましくないのであれば、中国がそういう方向へ行かないように説得していかないといけない。アメリカとは中国の体制の問題点を共有するにしても、世界経済を破綻させるような構造になるのは望ましくない。

 中国の一帯一路政策に対し、安倍総理は自由で開かれたインド太平洋地域を作ろうと言っている。この地域で米中の対決が先鋭化すると、アフリカから太平洋にかけていろいろなところで中国、アメリカ、日本とで対立が深まる。

 今の米中対決の根底に横たわっているのは、派手で目立つトランプ大統領の話だけでなく、アメリカと中国の経済発展、政治発展のダイナミクスの中で生じている深刻な矛盾である。その間にある日本は相当覚悟して外交、安全保障対策をやっていかないといけない。事態はかなり深刻である。(文責・編集部)

 

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