米中関係と東アジア 「新しい冷戦」の行方は?

豊かになっても自由度上がらず

 安全保障上の驚異に加え、アメリカのリベラルな人々の間でも中国に対する期待が裏切られたという思いがある。

 グラフの横軸の人間開発指標は生活水準を表し、縦軸のフリーダムハウス自由度は政治的・社会的自由度を表す。円の大きさは経済規模を表す。1995年ではアメリカが右上に位置し、そこから左下に各国が分布している。生活水準が高い国は自由度も高く、自由度が上がるほど生活水準も上がるという傾向がみられる。

 2015年のグラフでは、アメリカ、日本、ドイツが右上にあるのは変わらず、台湾、韓国、インド、インドネシアが右上の方に移ってきた。ところが中国は右上には行かないで、右にだけ進んだ。つまり自由にはならずに、なぜか生活水準はよくなり、経済規模も巨大になった。

 この間、中国が世界経済の相互依存のネットワークに入っていくことは世界にとっても中国にとってもよいことだというので、アメリカの政策担当者は中国に対して関与政策をとってきた。中国はWTOに加盟し、世界の工場となって劇的な経済成長を遂げた。

 しかし、中国の成長は、自由と豊かさは相互促進的であるという期待に反するものであり、かつての冷戦のときと似た雰囲気になっている。第二次大戦で日独伊の専制体制を破ったもう一つの勢力であるソ連は、社会主義体制の方が経済的に発展できると言って共産主義モデルを世界に広めようとした。共産主義体制が広まると自由主義は圧殺されてしまうというので危機感が高まった。

 2015年のグラフは、従来のパターンではない経済成長、生活水準の向上があることを示しており、それは自由主義的な体制にとってイデオロギー的な脅威になっている。習近平総書記は2017年10月の共産党大会で、中国の特色ある社会主義というモデルは独立を維持して発展しようと思う途上国に新しい選択肢を提供していると言った。2018年2月には憲法を改正し、国家主席の任期を撤廃した。経済発展はするけど政治的に自由になることは一切ないと言っているようにみえる。 

 これに対し、トランプ政権は中国とロシアを修正主義国家と呼んだ。中国が経済発展を遂げればいずれ自由化するという期待のもとに中国に対する支援をしてきたが、それは間違いだったとも言っている。

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